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吸血鬼が憩える保健室
吸血鬼が憩える保健室
坂餅
現実世界青春学園
2025年08月26日
公開日
761字
連載中
高橋鳴月(たかはしなつき)高校一年生。 高校生になって1週間、突如髪の毛が真っ白になってしまった、吸血鬼の血を引く少女。 中学時代、そして高校生になって1週間経たず、学校一の美人と称される。しかし羨望の眼差しのような『陽』の光に弱く、目立ちたくないため、学校一の美人が各学年にいる女子校へ転校。 畑中佳(はたなかけい)高校一年生。鳴月の前の席に座る生徒。よく後ろを振り向いて鳴月に話しかける。黒くないけどギャル。 この高いコミュ力に鳴月は助けられたり助けられなかったり。 不知火海幻(しらぬいみかん)新任養護教諭 ゆる〜く、ふわふわした新卒の養護教諭。 『陽』の光にやられた鳴月の面倒をよく見ている。 名前が名前のため、本当に実在しているのか不明との噂が流れている。 「不知火海幻?そんな先生うちの学校にはいなかったけど……?」となる可能性があったり無かったり。

生涯唯一の目覚まし

 高校生になって一週間のとある朝、睡魔が一瞬にして吹き飛ぶ出来事が、高校一年生の私――高橋鳴月たかはしなつきの身を襲った。


「なっ……ぁっえっ……白く……なってるぅ……⁉」


 洗面所の鏡に映るのはどこからどう見ても綺麗な私の顔。嫌という程見慣れている、滅茶苦茶整っている綺麗な顔だ。


 目鼻立ちはくっきりと形が良く、個人的には肌は白過ぎだと思うけど、聞き耳を立てたら白くて羨ましいと言われていた綺麗な肌。


 ――そしてその肌よりも白い、真っ白な髪の毛。


「白い‼」


 嘘だ嘘だ嘘だ‼ 白い⁉ なんで? 染められた⁉


 いやでも待って、綺麗だよ? 滅茶苦茶似合っているし、学校一の美人である私に相応しいけど‼


「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁダぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

「うるっさいわねあんた朝から――って白っっっっ⁉」


 鏡の前で頭を掻きむしっていた私の後ろに現れたのは、もう四十台のはずなのに怖い程若々しい私の母。たまに姉と間違えられる。間違えられた方はなんか気持ち悪いんだよね。


 そんなことより、私の絶叫を聞いた母が目を丸くしたかと思うと、自分のおでこを手で叩いた。


「あちゃー」

「そのリアクションしてる人初めて見たかも」


 少々時代遅れだろうか、なんかムズムズする仕草を見たせいで少し落ち着きを取り戻した。賢い母のことだ、私が冷静になると思ってこんな動きをしたのだろう。賢い私にはお見通しである。


「マジかー……、あたしに似て美人だから、まさかとは思ったけど。でもあんたに弱いもんね」

「えぇ……これも吸血鬼由来……?」

「うん………………………………………………初めて見たけど」


 スっと目を逸らす母である。


 おい、そのリアクション、なんか言い伝えで聞いていた的なやつじゃん。


「とりあえず、学校行きな」

「行けるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

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