高校生になって一週間のとある朝、睡魔が一瞬にして吹き飛ぶ出来事が、高校一年生の私――
「なっ……ぁっえっ……白く……なってるぅ……⁉」
洗面所の鏡に映るのはどこからどう見ても綺麗な私の顔。嫌という程見慣れている、滅茶苦茶整っている綺麗な顔だ。
目鼻立ちはくっきりと形が良く、個人的には肌は白過ぎだと思うけど、聞き耳を立てたら白くて羨ましいと言われていた綺麗な肌。
――そしてその肌よりも白い、真っ白な髪の毛。
「白い‼」
嘘だ嘘だ嘘だ‼ 白い⁉ なんで? 染められた⁉
いやでも待って、綺麗だよ? 滅茶苦茶似合っているし、学校一の美人である私に相応しいけど‼
「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁダぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
「うるっさいわねあんた朝から――って白っっっっ⁉」
鏡の前で頭を掻きむしっていた私の後ろに現れたのは、もう四十台のはずなのに怖い程若々しい私の母。たまに姉と間違えられる。間違えられた方はなんか気持ち悪いんだよね。
そんなことより、私の絶叫を聞いた母が目を丸くしたかと思うと、自分のおでこを手で叩いた。
「あちゃー」
「そのリアクションしてる人初めて見たかも」
少々時代遅れだろうか、なんかムズムズする仕草を見たせいで少し落ち着きを取り戻した。賢い母のことだ、私が冷静になると思ってこんな動きをしたのだろう。賢い私にはお見通しである。
「マジかー……、あたしに似て美人だから、まさかとは思ったけど。でもあんた
「えぇ……これも吸血鬼由来……?」
「うん………………………………………………初めて見たけど」
スっと目を逸らす母である。
おい、そのリアクション、なんか言い伝えで聞いていた的なやつじゃん。
「とりあえず、学校行きな」
「行けるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」