神無月のあやと
現実世界現代ドラマ
2025年09月17日
公開日
3.7万字
連載中
港区麻布台の区役所で、彼はすべてを手放して離婚届に署名した――だが奪われたのは財産ではなく、“名前”だった。
黒川迅、三軒茶屋の六畳一間から再出発。
新興企業・東間技術に招かれ、彼が最初に求めたのは破格の待遇でも派手な肩書でもない。「貢献者を必ず公に記す」“署名公示制度”。
見えないところで人をすり減らす日本の職場に、静かで痛烈な風穴を開ける。投資家との駆け引き、特許訴訟、サプライチェーンの不正を断つ「透明契約」。
法廷で寄り添うのは、剛腕にして温かい弁護士・桜井菜帆。
三茶のご近所の味噌汁に救われる夜もあれば、丸の内で名誉を取り戻す朝もある。
爽快に、時にほろ苦く。
これは“肩書”ではなく“署名”で生き直す物語。大人がもう一度、自分の名で立ち上がるための東京ドラマ。