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その恋愛フラグ、折らせていただきます。~折れば折るほど、彼が“落ちる”音が聞こえる~
その恋愛フラグ、折らせていただきます。~折れば折るほど、彼が“落ちる”音が聞こえる~
すまげんちゃんねる
現実世界ラブコメ
2025年10月08日
公開日
2.6万字
連載中
彩葉一心(あやは いっしん)の信条、それは――「物語の主役(ヒーロー・ヒロイン)になるな。安全な道端の石(モブ)になれ」。 中学時代、クラスの中心で恋と友情に破れ、全てを失った黒歴史。以来、一心にとって「色恋沙汰」は、平穏な日常を破壊する最悪の"破滅フラグ"となっていた。 高校二年の春。一心は完璧なモブライフを送るはずだった。長い前髪で表情を隠し、イヤホンで世界を遮断する。しかし、その灰色の日々は、一人の男によって音を立てて崩れ去る。 九重透(ここのえ とおる)。 太陽のような笑顔を振りまく彼は、一心にとって関わった瞬間にバッドエンドが確定する、歩く恋愛フラグそのものだった。 隣の席になるという絶望的な強制イベントに、一心は孤独な戦いを決意する。彼との間に発生する全ての恋愛フラグを、完璧に「へし折る」ために。 完璧な回避行動(塩対応)が決まるたび、一心の脳内にだけ【キィンッ!】という澄んだ金属音が響く。彼女はそれを、フラグ破壊の“成功音”だと信じていた。 しかし、なぜか九重透は離れていかない。むしろ、彼女の奇行をすべて「独特な優しさ」「極度の照れ隠し」と超ポジティブに誤変換し、日に日に距離を縮めてくるのだ。 「彩葉さんって、面白いよな」 まっすぐに笑いかけてくる彼に、一心の心臓は経験したことのない**【ズン…】**という重い音を立て始める。 この音は、一体何? なぜ彼は、私の壁をすり抜けてくるのか? そして、私が聞いているこの【キィンッ!】という音は、本当にフラグが"折れた"音なのだろうか?

第1話 その鉄の音は、始まりの合図

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