目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報
名門を捨てた後、私は元婚約者が手の届かない業界伝説になった
名門を捨てた後、私は元婚約者が手の届かない業界伝説になった
みことはべ
恋愛現代恋愛
2025年11月05日
公開日
3.9万字
完結済
十年間、私は高坂を想い続けた。 けれど、もう心は擦り切れ、想いは静かに途絶えた。 私は彼を諦め、完璧な財閥の御曹司――加城の求婚を受け入れた。 彼は私のために夜空を染めるほどの花火を上げ、 愛の証として、小島ひとつを買い取った。 だが、結婚式の一週間前―― 彼は、突然姿を消した。 ようやく見つけ出した彼の口からこぼれたのは、冷たい笑い声だった。 「あいつと結婚するのは、高坂を苛立たせるためさ。 もう飽きたし、式をすっぽかして街の笑い者にしてやる。おもろいだろ?」 私は微かに笑みを浮かべ、録音データを保存した。 そして何も言わず、婚約者のもとを去った。 結婚式当日。 私は華やかな衣装に身を包みながらも、式場には現れなかった。 代わりに、全世界へ向けて―― 彼の醜悪な言葉を録音ごと流したのだ。 三年後。 私は広告業界で名を馳せる新星となっていた。 再び現れた彼は、かつての傲慢さを失い、みじめに許しを請う。 そんな彼に、私は静かに微笑み、名刺を差し出した。

第1話 消えた花婿

loading