同棲して十二年、彼は「僕たちはただの友達だ」と言った~故郷に帰った後、私は天才画家のミューズになった!
ねぼう キング
恋愛現代恋愛
2025年11月10日
公開日
2.2万字
連載中
「ここから出て行ってくれ。パスワードも変えた。俺の彼女、森川梓はお前の物を見るのが嫌なんだ。」
昨夜あれほど彼女の身体に夢中だった塩月直哉は、翌朝そんな軽い一言を口にした。
「彼女はあなたの恋人でしょ。じゃあ、私は?」
「俺たちはただの友達だよ。」
浅野乃子は、十二年の青春と寄り添った時間を、この一言で終わらせられた。
その夜、彼女はすべての写真を燃やし、吹雪の青森の故郷へと姿を消した――
隣の古びた屋敷に、日本中の画廊が巨額の賞金をかけて探す天才画家・星野潤一が住んでいることも知らずに。
やがて、塩月直哉は雨の中に跪き、惨めに泣き叫んだ。
「乃子、一目でいい、君を見せてくれ……」
星野潤一は優しく彼女を抱き寄せ、静かに言った。
「申し訳ないですね、塩月さん。彼女は今、私のミューズです。」