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『背表紙に波のあと ― 汐待堂読書祭の夜 ―』
『背表紙に波のあと ― 汐待堂読書祭の夜 ―』
水城怜生
恋愛現代恋愛
2025年11月11日
公開日
4,996字
連載中
潮騒の響く海辺の町。 古びたアーケードの一角に、灯りをともす小さな本屋「汐待堂」がある。 大学生の涼真は偶然その店を訪れ、手に取った一冊の詩集を通して、店主の孫娘・澪と出会う。 彼女は町の夏の恒例行事「汐待読書祭」の準備を任されていた。 失われつつある“本を読む時間”を取り戻すため、二人は共に店を飾り、朗読会の計画を立てていく。 やがて明らかになるのは、澪がかつてこの町で失った家族の記憶、 そして涼真自身も忘れていた「ある一通の手紙」の存在だった。 波のように寄せては返す想いと記憶。 夕暮れの防波堤、潮風にめくれるページ。 読書という行為が人の心を癒し、再び歩き出す力をくれる——。 静かで深く、読み終えたあとに胸が温かくなる。 『背表紙に波のあと』は、 「本を愛すること」と「人を想うこと」が重なり合う、 失われゆく町に咲いた青春と再生の物語。

第1話

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