三年間愛していたセフレの彼が好きなのは私の親友だった
アボカド
恋愛現代恋愛
2025年11月12日
公開日
5.6万字
完結済
フリーの翻訳者・一色碧は、大学時代から密かに想いを寄せていた男――院瀬見竜也と、三年間身体だけの関係を続けていた。
彼の生活を陰で支える、都合のいい女。
けれど、竜也の心の奥にはいつも――碧の親友であり、彼の初恋の人、有栖紗英がいた。
紗英が結婚に失敗し、海外から帰国したとき。
竜也は碧に、静かに告げた。
「やっぱり、俺は彼女を愛しているんだ」
すべてを悟り、身を引こうと決めた碧。
だがその矢先、運命の悪戯のように――彼の子を身ごもっていることを知る。
「ただのセフレ」
そう、思っていたはずだった。
碧が姿を消したあと、竜也の世界は音を立てて崩れ落ちる。
彼女の残した日記と妊娠診断書を握りしめ、狂おしいほどに探し続ける竜也。
けれど、再会の果てに彼を待っていたのは、氷のように冷たい拒絶の言葉だった。
「この子は、あなたには関係ない」
傲慢だった社長は、地に這い、涙を流して懇願するしかなかった。
――“愛”に気づいたその日が、あまりにも遅すぎたことを知りながら。