五億の契約結婚――私は金だけもらって去るつもりだったのに、氷山系御曹司の夫が手放してくれない
海狸もち
恋愛結婚生活
2025年12月17日
公開日
3.4万字
連載中
星野千夏は、くじ引きで外れたことが一度もない。
コンビニの一等賞、ショッピングモールの大抽選会、ネット抽選……全部当たり。
だがまさか、その“幸運体質”のせいで、財閥に嫁ぐことになるとは思ってもみなかった。
五億円、六か月の契約。
彼女にとっては、ただの取引のはずだった。
橘川慎司――東京屈指の財閥御曹司。
冷淡で高貴、彼女には一切干渉しない男。
「互いに干渉なしだ。六か月後に離婚する」
そう言われ、千夏はうなずいた。
どうせお金を稼ぎに来ただけなのだから。
……けれど。
ハワイでの番組収録中、彼は彼女を腕の中にかばいながら言った。
「彼女は、俺の妻だ」
誰かが彼女を陥れようとした時、彼は低い声で警告する。
「彼女に手を出すなら、俺を敵に回す覚悟をしろ」
幼なじみが挑発すれば、彼はその場で宣言した。
「俺が愛しているのは、千夏だけだ」
契約最終日――
彼は片膝をつき、真剣な眼差しで告げる。
「もう一度、君にプロポーズさせてほしい。今度は本気だ」
千夏——「冷淡設定はどこに行ったの?」
慎司——「君の前じゃ、もう演じきれない」