渡瀬藍兵
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年12月19日
公開日
8,932字
連載中
天蓋樹に抱かれたリーベンバウム村で暮らす少女・リネットは、ただ「世界を見てみたい」と夢見る、ごく普通の村娘だった。
だがある夜、村の占い師オーウェン――千年を生きるエルフが告げた予言が、彼女の運命を塗り替える。
「君は、世界を変える」
恐怖と重圧に押し潰されそうになりながらも、リネットは逃げない。誰かにならなくていい。背負わなくていい。ただ、自分の目で世界を見ればいい――その言葉に背中を押され、彼女は旅立ちを決意する。
村の外には、想像していた“憧れの世界”だけが広がっているわけではなかった。
人の欲望、隠された歴史、歪められた真実。
そして、あらゆる因果の中心にちらつく存在――“勇者”。
旅の中でリネットは出会い、別れ、時に傷つき、それでも人と人を繋いでいく。
やがて彼女は、「世界を変える」とは力でねじ伏せることではなく、誰かの心に火を灯し、流れそのものを揺らすことだと知る。
何者でもなかった少女が、世界の真実に触れ、選び取り、歩き続けることで――
いつしか“何者か”になっていく。
これは、一人の夢見る少女が、運命に飲み込まれるのではなく、運命を自分の足で踏みしめていく物語。