深夜二時、親友が死んだと言ってドアを叩いた。アルファ接着剤で彼女の頭を貼り合わせた私に、財閥の神使が求婚した
無害プリン
恋愛現代恋愛
2025年12月30日
公開日
2.8万字
連載中
深夜二時、私は論文の締め切りに追われていた。
そのとき、親友の千尋が私のドアを叩いた。
全身血まみれで、首は肩の上で不自然に傾き、腹部からは内臓がこぼれ落ちている。
「遥香……私、クズ男に殺された……」
普通の人間なら、この状況で警察を呼ぶだろう。
でも、私――葉月遥香は普通じゃない。
私は針と糸、そしてアロンアルファを取り出し、彼女を縫い合わせてしっかりと接着した。
「行くよ。姐さんが仇を取ってあげる」
親友のためにクズ男を懲らしめるだけのつもりだった。
――そのはずが、これをきっかけに私の“特殊体質”が露見してしまった。
私は幽霊が見える。
幽霊に触れることができる。
そして、S級怨霊ですら一発でぶっ飛ばせる。
結果、私は霊異対策室に目をつけられた。
さらに厄介なことに――
「神使」を名乗る財閥社長にまで付きまとわれるようになった。
「葉月さん、あなたは月読の巫女です。私は千年ものあいだ、あなたを待っていました」
「すみません、私は静かに論文を書きたいだけなんですが」
「では、私が一緒に書きましょう」
「……氷室さん、ここは私のマンションなんですけど」
「ええ、承知しています。ですから、このビルごと買いました」