プロポーズされると思っていた私が、幼なじみに跪く彼を最前列で見届けた夜
えだまめ
恋愛現代恋愛
2026年01月04日
公開日
4.7万字
連載中
夏目奏音は、あの夜のことを永遠に忘れない。
東京ドーム。
五万人の歓声、スポットライトの下で、彼は片膝をついた。
彼女は息を詰め、あの言葉を待っていた――
「結婚してくれませんか?」
けれど、彼が見つめていたのは彼女ではなかった。
五年。
四十二曲。
それは周到に仕組まれた、一つの詐欺だった。
真実が明らかになったとき、彼女は気づく。
自分は一度も、彼の人生の中に入ったことがなかったのだと。
一年後、ニューヨーク。
スマートフォンが震える。
彼からの着信。
彼女は一瞥すると、無言でマナーモードに切り替えた。
グラミーのステージで、司会者が彼女の名前を読み上げている。
――今度こそ、
スポットライトは、正しい人のもとへと降り注いだ。