あの子がお腹にいるのに、使うはずのなかったコンドームを見つけた日から、私は手を洗うのをやめられなくなった
ゆいぽん
恋愛結婚生活
2026年03月30日
公開日
2.9万字
連載中
それは、妊娠二ヶ月の朝だった。
夫のスーツを整えていた手が、内ポケットで止まる。
コンドーム。
開封済み。
中身がいくつか減っていた。
なのに、私のお腹には、もう子どもがいる。
――その日から、手が止まらなくなった。
ドアノブを拭く。
冷蔵庫を拭く。
彼が触れたものを、全部。
何度も何度も洗っているのに、何かが落ちきらない気がする。
自分でもわかっている。
汚れているのは、手じゃない。
義母は言った――「許してあげなさい」と。
実の母は言った――「離婚して、あんたどこ行くの」と。
夫だって泣きながら謝った。
私は笑いながらうなずいた。
そして一人になるたび、また手を洗い続ける。