庶民出身の年下彼氏に「30歳はもう汚い」と言われた資産数千億の私、秒でさらに若い財閥御曹司に乗り換えました
鍋
恋愛現代恋愛
2026年04月17日
公開日
3.3万字
連載中
長谷川家の令嬢にしてグループを掌握する由紀は、まさか自分が三十歳の年に、五年間付き合った年下の恋人・五十嵐陽太に「少し汚れてきた」「時間に使い古された」とドライブレコーダーの音声で評されるとは思ってもいなかった。
五年間、彼女は仕事も、資源も、人脈も与え、彼を一介の社員から上の立場へと押し上げた。だが彼が返したのは、裏切りと録音に刻まれた侮蔑だった。
由紀は冷静に別れ、解職し、法的にも清算する。しかし彼はメディアの前で「名家に捨てられた一途な一般人」という物語を演じ始め、安っぽい思い出の品まで差し出して見せる。
由紀に残ったのは、ただ疲労と嫌悪だけだった。
そのとき――商業提携をきっかけに知り合った“戦略結婚”の相手、同じく若くして頂点に立つ財閥出身の菅原和也が、静かに彼女の前へと進み出る。彼はその滑稽なペンを受け取り、穏やかな声で、しかし一切の余地なく言い切った。
「五十嵐さん、きちんと別れることが、過去への最低限の礼儀ですよ」
そして彼は由紀へと向き直り、澄んだ眼差しで問いかける。
「この“ビジネス上の婚約”、本当のものにしてみませんか」
目の前にいるのは、元恋人よりも若く、整っていて、そしてはるかに力を持つ“年下の男”。由紀はふと、自分の過ごした五年間が滑稽に思えてきた。
年下の男なんて、いくらでもいる。
だったら――もっと従順で、もっと優れていて、もっと相応しい相手を選べばいいだけだ。