彼に浮気されて別の男に嫁いだ私――彼が泣いて跪いたとき、私の彼氏は彼の会社の社長の御曹司だった
朝露
恋愛結婚生活
2026年05月28日
公開日
3.9万字
連載中
彼が浮気していることは、知っていた。
あのピンクのスリッパは、うちの靴箱に二年間置かれたまま。
私は見て見ぬふりをして、彼は本当に気づいていないと思っていた。
結婚六年。私は堤誠一の妻だった。頭金は私の実家が出し、仕事は父が口利きし、――彼の会社にいる「あの女 」の大学の学費でさえ、かつては私たちが援助していた。
彼は、私から与えられたすべてを持っていき、そして彼女を連れて、私たちの家に住み始めた。
私は泣かなかった。騒ぎもしないし、問い詰めもしない。
ただ、彼があの女に贈ったプレゼントを持ち帰ってSNSに載せ、「研修のための資金が必要だ」と嘘をついて、家の売却金をすべて自分の口座に移し、そのまま家庭裁判所へ――離婚調停の申立書を提出した。
送達は、彼の会社へ。同僚たちの前で、正式に。
「ふざけてるのか」彼はそう言った。
「あなたは私を裏切っていいのに、私は申し立てちゃいけないの?」私は淡々と返した。
そのすべての過程で、ひとりの男がずっと側にいた。
堤誠一の上司、グループ社長の御曹司――城戸颯。
父の手術の手配をしてくれたのも、深夜、ゴミ箱を漁って古いシャツを探していた私のそばにいたのも、あの男に人前で罵られたとき、最初に前に出たのも――彼だった。
彼がくれたのは、花じゃない。
一万円札で束ねた、百万円の花束。
添えられたメモには、こう書かれていた。
「綺麗事じゃなくていい。現実で勝て」
やがて――元夫は降格、愛人は解雇。二人は東京を追われるように去っていった。
私は独立し、自分のブランドを立ち上げる。
彼は出資した。
そして、ただ一言。
「お前がやることなら、全部乗る」