三年間愛されなかったので身を引こうとしたら、離婚届を見た夫が壊れ始めました
北風 和奏
恋愛現代恋愛
2026年06月10日
公開日
18.9万字
連載中
結婚して三年――。
夫・湊は、一度も私を愛してくれなかった。
夫婦なのに別々の部屋で暮らし、彼に浮上する女性問題の後始末をするのが私の役目。
どれだけ尽くしても、どれだけ待っても、彼の心は私には向かなかった。
それでも離婚できなかったのは、昔、命を懸けて私を救ってくれた彼を愛していたから。
けれど、その想いも限界だった。
湊の初恋相手・リナが帰国し、彼女の隣で見せる幸せそうな笑顔を目の当たりにした私は、ようやく気づく。
――私は最初から、この恋の脇役だったのだと。
だから決めた。
もう彼を追いかけるのはやめよう、と。
財産もいらない。
地位もいらない。
ただ、この苦しい結婚生活から解放されたかった。
そうして差し出した離婚届。
当然、彼は喜んで判を押すものだと思っていた。
なのに――。
「本当に俺と離婚する気なのか?」
離婚を望んでいたはずの彼は、なぜか手続きを先延ばしにし、私が他の男性と話すだけで不機嫌になる。
さらには、今まで見向きもしなかったくせに、離れようとする私を必死に引き留め始めて……。
今さら優しくされても遅い。
私はもう、愛されない妻でいることに疲れてしまったのだから。
捨てられるはずだった妻が、自分自身の人生を取り戻そうとした瞬間――。
冷酷だった夫の執着と後悔が始まる。