伊達ジン
現実世界仕事・職場
2026年06月03日
公開日
5,028字
連載中
大手家電メーカー・東都エレクトロニクスで、かつて開発データ流出事件の責任を押しつけられ、退職へ追い込まれた佐藤任三郎。
五年後、彼は派遣社員として古巣に戻ってくる。配属先は、リストラ候補や扱いに困った社員が集められた「墓場部署」こと、事業再構築推進室 第三業務支援課だった。
任三郎は、決裁権も十分な社内権限も持たない派遣社員でありながら、資料、メール、伝票、契約範囲、修正履歴から職場の矛盾を見抜いていく。派遣、契約社員、正社員、それぞれの立場で声を上げられなかった人々は、彼の仕事ぶりを通じて少しずつ変わり始める。
だが、現在進む再編不正の裏には、五年前に任三郎を陥れた事件と同じ手口が見え隠れしていた。
これは、暴力でも権力でもなく、実務と記録で理不尽を崩していく男の、静かな復讐と職場再生の物語。