彼は自分には二つの人格があり、三十二人の花嫁を殺したのはもう一人の自分だと言った―けど精神鑑定の結果、すべては演技だった
RIRI
ミステリー推理・本格
2026年07月20日
公開日
2万字
完結済
私は彼を、どこにでもいる普通の患者だと思っていた。彼のクローゼットの中で、三十二着の折り紙の白無垢を見つけるまでは。
一着ずつ透明な袋に密封され、そのすべての縁に乾いた血痕が残っていた。
彼は、それらが自分の参列した三十二回の結婚式を表していると言った――けれど、花嫁たちは全員死んでいた。
そして私のもとに、第三十三回目の結婚式の招待状が届いた。花嫁の名前を書く欄は空白だった。
彼は私に言った。
「僕を止められますか?」
その口調は挑発というより、助けを求めているように聞こえた。
私は彼もまた被害者なのだと思っていた。精神鑑定の結果が出るまでは。
彼の症状はあまりにも典型的だった。まるで教科書を読み、そのとおりに演じているかのように。
その瞬間、私はようやく気づいた。
最初から最後まで、選ばれていたのは私だったのかもしれない。