密かに片想いしていた兄を閉じ込めたら、家族全員が「今回は何日監禁するつもり?」と聞いてきた
きっとう
恋愛現代恋愛
2026年07月22日
公開日
1.9万字
連載中
私は篠原雪。
篠原家の“偽のお嬢様”だった。
本物の令嬢が戻ってきた日から、私の居場所は少しずつ奪われていった。
彼女は私の服を着て、私の香水をまとい、私が座っていた場所に座って、皆に優しく微笑む。
私は何も気にしていないふりをした。
けれど本当は――
もっと狂ったことをしていた。
私は、長兄・篠原静を軽井沢の別荘の地下室に閉じ込めていた。
彼に告白した。
でも、彼は私を選ばなかった。
「好きな人がいるんだ」
「ずっと前から、ずっと好きだった人が」
そう言われた。
その日の深夜、屋敷へ戻った私は、偶然にも両親の会話を聞いてしまった。
「私に言わせれば、最初から雪を娘として迎えるべきじゃなかった」
「そうだな。あの時気づいた時点で、すぐに決断するべきだった」
静も私を必要としていない。
父も母も、私を望んでいない。
――誰も、私を選んでくれない。
私は篠原家から受け取ったすべての財産を返した。
手元に残したのは、一枚の家族写真だけ。
そして宮古島行きの飛行機のチケットを取った。
もう、この人生は終わったのだと思っていた。
……四日目の夕暮れまでは。
民宿の入口で、私は彼を見た。
私を拒絶したはずの男が――
真っ赤な目で、私の前に跪いていた。
「雪……」
「君は、俺の薬なんだ」