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婚約者は私の妹に心臓を与えた。だから私は、彼の研究所に自分の遺体を献体した―そして彼が私の遺書を開いた
婚約者は私の妹に心臓を与えた。だから私は、彼の研究所に自分の遺体を献体した―そして彼が私の遺書を開いた
ppa
恋愛現代恋愛
2026年07月22日
公開日
6,276字
連載中
誰もが、静香は取り乱すと思っていた。 移植されるはずだった心臓を奪われたときも、彼女は騒がなかった。婚約を解消されたときも、騒がなかった。深夜に別邸を追い出されたときさえ、何ひとつ言わなかった。 静香は静かに合意書へ署名し、静かに一本の動画を撮り、静かに自らの遺体を有栖川医療研究所へ献体した。 やがて、その動画はインターネット上で拡散された。 警察には、田島光代の自白と三つの物証が届いた。義妹は病院で死亡し、婚約者は屋上から身を投げた。 そして静香がこの世界に最後に残したものは、何ひとつ書かれていない一通の手紙と、永遠に答えの出ない問いだけだった。 ――彼女は、いったいどこまで知っていたのだろうか。

第一話 適合者が見つかった

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