目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
深夜、腕時計を返しただけなのに――私は旧財閥の“金の鳥籠”に閉じ込められた
深夜、腕時計を返しただけなのに――私は旧財閥の“金の鳥籠”に閉じ込められた
白い怪物
恋愛現代恋愛
2026年07月27日
公開日
2.6万字
連載中
深夜の路地裏。 大学院生の森川紗季は、強盗からスマートフォンを取り戻し、その場に残された青い腕時計を持ち主へ返した。 彼女はただ、人助けをしただけだと思っていた。 しかし――。 その腕時計の持ち主・鷹司佳輔は、旧財閥の警備会社社長だった。 彼は優しく彼女を「綺麗な小鳥」と呼び、鎌倉の山奥にある旧邸へ連れて行く。 守るため。 研究を支援するため。 安全を与えるため。 そう言いながら――。 彼は彼女の部屋の鍵を閉ざし、メールを確認し、深夜には自ら真珠のイヤリングを彼女の耳につけた。 目を覚ました紗季の鎖骨には、理由の分からない赤い跡が残っていた。 彼女の学業。 連絡手段。 行動予定。 すべてが少しずつ管理されていく。 一族と財閥の秩序が、彼女の人生を静かに押し潰していく。 怒りさえも、まるで誰かに用意された演技のようだった。 やがて紗季は、監視の隙間にお菓子を隠し、ドアの隙間に髪の毛を挟む。 そして、ようやく気づく。 自分は救われたのではない。 ――大切にされたのではなく、所有されていたのだと。 それでも彼女は、ついに別の街へ逃げた。 一人で論文審査を終え、自分だけの部屋を借りた。 そんなある日。 花市場の日差しの中で、彼は再び彼女の前に現れる。 差し出された掌には、あの日の真珠のイヤリング。 そして彼は静かに尋ねた。 「このイヤリング……まだ、覚えているか?」

第1話 深夜の帰り道

loading