深夜、腕時計を返しただけなのに――私は旧財閥の“金の鳥籠”に閉じ込められた
連載中最近更新:第10話 髪の毛と裏口2026年07月27日 09:45
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深夜の路地裏。 大学院生の森川紗季は、強盗からスマートフォンを取り戻し、その場に残された青い腕時計を持ち主へ返した。 彼女はただ、人助けをしただけだと思っていた。 しかし――。 その腕時計の持ち主・鷹司佳輔は、旧財閥の警備会社社長だった。 彼は優しく彼女を「綺麗な小鳥」と呼び、鎌倉の山奥にある旧邸へ連れて行く。 守るため。 研究を支援するため。 安全を与えるため。 そう言いながら――。 彼は彼女の部屋の鍵を閉ざし、メールを確認し、深夜には自ら真珠のイヤリングを彼女の耳につけた。 目を覚ました紗季の鎖骨には、理由の分からない赤い跡が残っていた。 彼女の学業。 連絡手段。 行動予定。 すべてが少しずつ管理されていく。 一族と財閥の秩序が、彼女の人生を静かに押し潰していく。 怒りさえも、まるで誰かに用意された演技のようだった。 やがて紗季は、監視の隙間にお菓子を隠し、ドアの隙間に髪の毛を挟む。 そして、ようやく気づく。 自分は救われたのではない。 ――大切にされたのではなく、所有されていたのだと。 それでも彼女は、ついに別の街へ逃げた。 一人で論文審査を終え、自分だけの部屋を借りた。 そんなある日。 花市場の日差しの中で、彼は再び彼女の前に現れる。 差し出された掌には、あの日の真珠のイヤリング。 そして彼は静かに尋ねた。 「このイヤリング……まだ、覚えているか?」 閉じる
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創意工夫ありし者創意工夫ありし者2026-07-27 09:45ネオ・デビューネオ・デビュー2026-07-27 09:45作者のひとりごと作者のひとりごと
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婚約者の亡き母の代わりにされていた私、逃げた先で契約結婚した建築家の夫の唯一のインスピレーションになる「藤堂家」という名の金の鳥籠で、秋山静は五年間、完璧な“影”を演じてきた。 だが婚約者が料亭で「藤堂家にふさわしい別の女性」を公然と紹介したその瞬間、彼女は束縛の象徴だった翡翠の指輪を外し、酒の入った杯へと投げ入れる。凍りつく視線の中、振り返ることなく去った。 京都を離れ、鎌倉で名を隠す。 和菓子を学び、古書を修復し、自分の手で少しずつ生活を取り戻していく。 しかし、侮辱のメール、札束を携えた秘書、情に訴えて引き戻そうとする老執事が次々に現れ。 あの男は彼女が藤堂家を離れれば何も残らないと信じて疑わない。 そんな中で出会った隣人・森川和也は、冷静な結婚契約を差し出す。 互いに利を得る関係――そして彼女は「森川静」となった。 やがて全国大会の舞台で彼女が栄冠を手にし、藤堂蓮が再び現れて仕事を盾に揺さぶりをかけたとき、新たな夫・森川和也は静かに彼女を背に庇う。 「藤堂会長、競うなら正面からどうぞ。――それと、私の妻の未来は、私が守ります」その後、彼は自らの過去すべてへ通じる鍵を彼女の手のひらに置き、穏やかに告げた。 「ここも、あそこも、君に預けたい。ただ、君が“静”だから――そして、愛している」
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