顔を見分けられない私の目印は、婚約者が捨てた手作りシャツ――それを着た御曹司を婚約者と間違えた私が、溺愛されました
Utau tori
恋愛現代恋愛
2026年07月28日
公開日
2.4万字
連載中
人の顔を認識できない早津紀にとって、青いシャツだけが婚約者を見つける唯一の目印だった。
人混みの中でも彼を見つけられるように、彼女は自分の手で青いシャツを縫った。
それは、彼女が彼を愛している証であり、世界で唯一頼れる「目印」だった。
しかし婚約者の黒沢徹は、彼女が何を必要としているのか一度も理解しなかった。
痛む指のために特注の指サックが欲しいと言った時、彼が買ってきたのは神谷凛が勧めた化粧品。
甘い物が苦手だと何度伝えても、彼はいつも神谷凛の好きな蜂蜜ケーキを選んだ。
銀座で自分のブランドショップを開きたいという夢も、「安定の方が大事だろ」と簡単に否定された。
三度伝えたことも、彼の中には一つも残っていなかった。
そしてある日。
黒沢徹は、別の女性を選んで彼女の前から去った。
その夜、青いシャツを着て帰ってきた男は――彼女が知らない人だった。
彼女は、人を間違えた。
けれど、その間違いこそが、彼女に初めて「ちゃんと見てもらえる」人生を与えた。
やがて真実が明らかになった時、元婚約者が戻ってくる。
同じ青いシャツ。
同じ目印。
けれど、彼女を大切にするのは一人だけ。
彼女が最後に選ぶ相手は――誰なのか。