白石マサル@0903
異世界恋愛ロマファン
2026年07月29日
公開日
4,319字
連載中
北の果てを守る英雄――『銀狼公爵』。
誰もが憧れ、誰もが恐れるその男、レオン・ヴァルハルトとの結婚を命じられた日、没落伯爵令嬢リリ ア・エヴァレットの人生は一変した。
平民街の診療所で薬師として働く彼女にとって、それは身分違いの政略結婚。しかも初対面の彼は、冷たい銀色の瞳でこう言い放つ。
「君を愛するつもりはない」
傲慢で冷酷。噂通りの男。
――そう、思っていた。
けれど誰もいない夜、彼がたった一人で苦しんでいる姿を見てしまう。
国を守り続けた代償として、その身体を蝕む恐ろしい呪い。
誰にも弱さを見せず、静かに壊れていこうとする人。
そしてリリアだけが持つ、彼を救えるかもしれない特別な力。
「私は道具じゃありません」
「分かっている」
決して交わらないはずだった二人の距離は、少しずつ変わり始める。
不器用な優しさ。
時折見せる独占欲。
守られるたび、知らなかった彼を知るたび、凍りついていた心がほどけていく。
けれど、彼を救うには大きすぎる代償があった。
彼を生かせば、自分が失われる。
それでも。
たとえ運命に抗えなくても。
たとえ、この想いがすべてを壊すとしても。
「あなたを、置いていかない」
これは、愛を知らなかった英雄と、誰かのために生きてきた少女が、滅びの運命に抗いながら、本当の幸せを見つける物語。
孤独な銀狼は、月の花嫁に恋をする。