雨の夜、初恋の彼女を選んだ夫へ――私はもう身を引きました
ろしょうき
恋愛現代恋愛
2026年09月24日
公開日
13.4万字
連載中
葛城千夏が十六歳の頃から、ずっと憧れていた相手――葛城晴臣。
両家の約束によって結ばれた婚約。
千夏は自分の夢を手放し、喜んで晴臣の妻になることを選んだ。
「いつか彼の心を変えられる」
そう信じて、冷たい態度を見せる晴臣にも寄り添い続けた。
しかし――。
一人で病院へ行き、妊娠検査を終えて帰宅した千夏が目にしたのは、晴臣が妹の水野佳奈を家に迎え入れ、優しく寄り添う姿だった。
その瞬間、千夏は悟る。
どれだけ努力しても、最初から自分に向けられていない心を温めることなどできないのだと。
千夏は静かに離婚届を差し出し、彼のもとを去る。
そして、諦めていた自分の夢と向き合い、再びピアノの世界へ――。
国際ピアノコンクールで圧倒的な演奏を披露し、栄光を掴んだ千夏。
その時、かつて彼女を見向きもしなかった冷淡で気高い男が、世間の注目を集める舞台の上で跪いた。
「もう一度、俺の隣に戻ってくれ」