裏切られた妻が死を偽って逃げたら、御曹司の夫が後悔で狂い始めた
ブルーベリーチーズ
恋愛結婚生活
2026年10月10日
公開日
6,257字
連載中
これまで乙音は研司を愛し続け、どれほど辛くても、彼のために秘密の結婚を守り抜いてきた。
研司が女優の雪奈を抱き寄せ、新聞の一面を飾ったときも、写真を削除し、記事をもみ消した。
耐え続けていれば、いつか彼が振り向いてくれると信じていた。
しかし、あの交通事故の日。
研司が守ったのは血まみれで倒れた妻ではなく、雪奈だった。
大出血している乙音を見捨て、雪奈を連れてその場を去ったのだ。
その夜、乙音が病院で一人目を覚ますと、医師から一枚のエコー写真を渡された。
「お子さんは助かりませんでした。それに、今後妊娠するのも難しいでしょう」
お腹の中にいた子の遺灰を抱きしめ、乙音の心は完全に死んだ。
三日後、退院した彼女は誰にも知られないよう五十嵐家へ連絡を取り、実の家族の元へ帰ると決めた。
数日後、海上でヨットが爆発した。
海面に漂っていたのは、無残に引き裂かれた衣服の切れ端。
歯科記録も一致し、乙音は死亡したと判断された。
妻の死を知らされた研司は衝動のまま海へ飛び込み、彼女を捜して意識を失うまで海中を探し続けた。
さらに葬儀場では、祭壇をひっくり返し、泣き叫びながら暴れ回る。
誰もが口をそろえた。
研司は完全に狂ってしまったのだと。
それから一年。
五十嵐家の令嬢が仮面舞踏会に姿を現した。
研司は別の女性を連れて会場の中央で踊っていたが、ステージの中央に立つ女性が仮面を外した瞬間、凍りついた。
その顔は死んだはずの妻とまったく同じだった。
研司は彼女を追いかけ、車の前に立ちはだかる。
「君はいったい誰なんだ?」
女はただ彼を見下ろした。
「どなたかと人違いをしていませんか?小宮山さん」