夫のアレルギーを20年気遣った私。幼なじみの夫は部下と浮気―証拠を会社に送り、指輪を叩き返して海外へ。夫は後悔に狂った
渡辺すず
恋愛結婚生活
2026年10月10日
公開日
3.1万字
連載中
バレンタインデーの夜、瀬名莉子はレストランからの電話で、夫の柊征志が二人席を女性部下の望月灯のために確保していたことを知った。
そのときも彼女は、夫のために確認していた。
「ボタンエビは別のものに替えてください。スープのベースも、ソースも、焼き台も、別々にしていただけますか」
ところが柊征志から届いたのは、こんなメッセージだった。
「急に今夜、客との会食が入った。レストランには行けなくなった」
望月灯の限定公開の投稿には、こう書かれていた。
「一番予約が取れない席を私のために取ってくれてありがとう。今夜のお酒はとても甘かった。あなたの言葉はもっと甘かった」
写真の隅には、柊征志がいつも持ち歩いているアレルギー薬のケースが写っていた。
テーブルにエビやカニがあると知りながら、彼は席に着いていたのだ。
莉子は泣かなかった。
写真も、予約記録も、コンサートの動画も、すべて保存した。
その夜、オフィスで柊征志が望月灯の後頭部を押さえている姿を目にした莉子は、結婚指輪を彼に叩き返し、離婚協議書を差し出した。
「柊征志、私たち離婚しましょう」
証拠は双方の両親と会社に送られた。望月灯は異動させられ、柊征志は社内中で噂される浮気男となった。
交通事故の後、彼は莉子に病院へ来てほしいと懇願した。
莉子はただ一言、返した。
「私とあなたは、もう何の関係もありません」