お見合い相手の腹黒教授を小説の主人公にした私――その後、彼は現実の私にお仕置きをしてきました
Shinonome
恋愛現代恋愛
2026年10月13日
公開日
2.5万字
連載中
森下桃枝は、「小説の海」で活動する三流作家だった。
ペンネームは――甘桃。
プロフィール欄にはこう書いてある。
「甘い恋愛小説を書く作家です。アクセル全開、ブレーキ故障中」
代表作は『師匠を押し倒す十八の方法』。
読者コメント欄には、まともな感想が一つも集まらないほどの作品だった。
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お見合いの日。
桃枝は目の前の男性へ、少し緊張しながら言った。
「私のペンネームは――甘桃です」
「あなたは?」
彼は淡々と答えた。
「桐生言彦です」
桃枝は頬を赤らめた。
「桐生さん、ご本名をそのままペンネームにしているなんて……すごいですね」
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その後、彼女は彼のことを検索した。
澄川大学の歴史学教授。
著書は十冊以上。
どの作品も高い評価を受ける名著ばかり。
桃枝はその場で固まった。
一方、彼も彼女の作家ページを見た。
そこに並ぶ作品紹介やプロフィールは――
あまりにも刺激的だった。
彼はゆっくりと、シャツの第一ボタンを留め直した。
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彼は彼女にお茶を淹れてくれた。
川柳の作り方を教えてくれた。
彼女が文章を書けなくなった時には言った。
「それは語境が合っていない」
彼女が盗作疑惑をかけられた時には、ネット上で反撃して彼女を守った。
深夜、ホテルまで駆けつけた。
カードキーを開けられる恐怖に震える彼女を抱きしめて救い出した。
そして彼女を毛布で包み込み、繭のような姿にして言った。
「だったら、無駄にするな」
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彼は人前で堂々と言った。
「彼女は、私の恋人です」
義母の前では聞き返した。
「お義母さん?」
ベッドの上では、更新催促の電話を切って言った。
「桃桃、今は俺に集中して」
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一年後。
二人は四国の海岸をドライブしていた。
天空の鏡と呼ばれる浅瀬に、二人の姿が映っていた。
桃枝は彼の肩にもたれながら言った。
「次の章は、あなたが私にプロポーズする話にするね」
彼は三秒黙った。
そして答えた。
「その章は書かなくていい」
「直接、現実にしよう」