ネオページ編集部のスタッフがオススメする作品をピックアップしてご紹介するこのコーナー。
今回、紹介するスタッフは山上 紀行です。
こんにちは~山上です!
現実世界で色んなことを試した人です…
コロナの影響で古典文学研究を辞めさせられてから、なかなか方向を決められず、とにかくビジネスコンサルタントとして働き、バーテンダー、整体師など色んな副業も試し、少しの間ウロチョロしていましたが、やはり小説が好きで、今は編集者という道を選びました。現実や現代ファンタジーに関しては実体験に基づいてアドバイスを出せるかもしれません~
小説以外に変わらない趣味は料理で、皆のダイエットのためのサラダとか、一週間の疲れを癒すカクテルを時々作っています!
作品とレシピの討論は大歓迎です~よろしくお願いします!
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中学校から古典が好きで、大学に入り修士課程まで万葉集を専攻していた私が、この短歌を中心に展開した作品を見てすぐに魅了されました。
高校の野球少年である主人公・大谷三球が挫折し、新しい趣味を探すために図書館で出会った短歌に非常に長けたヒロイン・涼風救と出会い、弟子入りして学び始めました。二人は短歌を通じて徐々に近づいて行く恋愛ストーリーですが、短歌という要素が更に作品に深みを与えています。
恋に不器用な高校生少年と、大人しいが時折子供っぽさを見せる中学生の恋愛ストーリーなので、二人の距離感のコントロールが非常に重要で難しいです。主人公がヒロインに返事をする際、向こうの思考の軌跡を辿る繊細な心理描写や、ヒロインの表情や動きを通じて、薄々と照れさを伝える描写など、何れも創作時に非常に参考になるところだと思います。
もう一つ参考になる点は、流行要素の使い方です。先程も言ったように、二人は高校生と中学生で、実際に会う機会はあまり多くないため、作者はSNSを巧妙に交流の手段として使っています。遠距離で会わない交流が、作品に淡い酸っぱい恋愛の雰囲気を一層醸し出しています。また、現在流行りのVTuberを重要な要素として取り入れ、現実世界とギャップを強調し、作品にさらなる面白さを加えています。
三十一文字で伝えられるものはボリューム的に小さいですが、それと反対に空白が存在しているため想像で補える部分はかなり多いと思います。まさに作中の「十万文字分の想いがそこに込められてる」ですね。
普段の熱い恋と比べると、やはり淡々と伝わってくる感情の方が人を感動させやすいのかもしれません。
タイトルだけで強烈なインパクトを放つ一作で、その中身はさらに予想を超えるほどのギャップが存在します。探偵が「推理をするだけで世界が滅ぶ」という設定はかなり興味深く、単なる学園ミステリーに収まらず、SF、ファンタジー、そしてラブコメ的要素まで含んでいて、自然とミステリー的な色が薄くなると思い込んでしまいますが、実際、事件現場の環境図まで描かれている各要素が自在に織り交ぜた、まさに「異色の本格」です。
主人公の福寄幸太は、普通のミステリー好き高校生で、そんな彼の前に現れたのが、自称「本格的名探偵」の美少女・推川理耶でした。彼女の放つ「迷推理」に最初は呆れましたが、その夜、実際に空を飛ぶ怪物を目撃し、理耶の隠された秘密を知ったとき、物語は一気に非現実的な領域へと跳ね上がります。
そして、主人公をはじめ、数名の個性的なキャラが集まり、非公式推理団体が結成です。中二病風妹系少女、ネガティブ系ナース、時々人格が変わる令嬢、無表情メイドなど多彩な要素が盛り込まれ、バランスもよく保たれていて、作品のキャラクター陣作りのいい勉強になるでしょう。
「推理✕現実改変」というアイディアが作品の中心になり、改変すると真実を追求すべき探偵の推理とやや遠くなってしまいそうですが、実は根幹にある一つの思いが合っていました。
ミステリー作品で、あまりのネタバレは良くないですので、お読みの際にこれに気づいたら、もっと面白いかも知れません~是非お楽しみに~
私は初めてこの作品を知ったのは、ドラマと映画からでした。その後、原作を読むことにしたのですが、原作の魅力を再認識しました。この作品は2006年に発表され、少々古い作品となりましたが、今でも十分に参考にできる要素が詰まっていると思い、ついおすすめしました。
本作の最大の魅力は、医療を題材にしていながら、単なる医学的知識の羅列に終わらず、登場人物の心理や成長が丁寧に描かれている点です。
主人公の田口公平は、最初はどこか頼りない医師ですが、事件を通じて次第に成長し、彼自身の人間的な深みが感じられます。チャラ文芸やWeb小説に主人公の成長は常に読者を惹き付ける重要なポイントで、レベルアップやレアアイテムの獲得のような直観的な成長以外に、内面的な成長も触れていたら、キャラクターがより立体的になるでしょう。
また、やや冷徹な白鳥圭輔とのコンビが物語をさらに引き立て、二人の関係性が物語の進行とともに変化していく様子も見どころの一つで、ここも各キャラクターの関係を書く時の参考になると思います。
この作品をお勧めしたもう一つの理由は創作に興味を持つ方々に自分の実体験をどんどん作品に活かして欲しいからです!
当作品の作者は元々医療に関する経験があるため、非常にリアリティ高い医療現場を再現でき、専門的な知識を正確に描きつつも、読者が難解に感じないように工夫されています。どんなに複雑なテーマを扱う場合でも、実際の経験や知識を基にした描写は、物語に深い説得力を与え、更に今の流行である転生やファンタジー要素を取り入れると、当人しかできない独特の魅力を持つ作品を生み出せるのではありませんか。
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