あらすじ
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ロンドンで雪が激しく降りしきるあの夜、 藤原翔太は初恋の人を迎えるために、婚約者である雪村千早を卒業パーティーにひとり残して去っていった。 失意の千早が東京に戻って最初にしたこと—— それは婚約書を破り捨て、あの男のオフィスの扉を叩くことだった。 「氷室さん、私に契約結婚をしてください。」 氷室雅彦。 財界でその名を聞くだけで震え上がる、“地獄の番人”と呼ばれる男。 藤原翔太の従兄でもある。 彼は冷たい眼差しで千早を見下ろし、まるで商品を値踏みするように言った。 「雪村さん、どうして他人の厄介事を引き受けなければならない?」 千早は背筋を伸ばし、はっきりと言い返す。 「あなたの“結婚しろ”という家の圧力を、私が解消できるからです。お互いに利益があるはずです。」 男はしばし黙り込み、やがて唇の端をわずかに上げた。 「いいだろう。ただし——契約期間中、おまえのすべては俺のものだ。」 やがて行われた盛大な結婚式は、東京中を騒がせた。 藤原翔太は壇下で血走った目を見開き、信じられないというように叫ぶ。 だが雅彦はただ、千早を堂々と腕の中に引き寄せ、冷然と言い放った。 「今の彼女は——お前の義姉だ。」閉じる
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創意工夫ありし者創意工夫ありし者2025-11-13 17:12ネオ・デビューネオ・デビュー2025-11-12 12:58作者のひとりごと作者のひとりごと
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