袖の露 ―泣かない陰陽師と、腹ペコ泣き女―
連載中・最近更新:第二章 梅壺の噂・2026年10月22日 17:32
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あらすじ
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声は出す。涙は出さない。それが泣き女のこつだ――と、露は勝手に思っている。 都の泣き女衆で育った十七歳の露は、弔いの場に雇われて泣くのが仕事。けれど死んだ人に素手で触れると、その人の最後の想いが流れこみ、本気で泣いてしまう。だから露は、いつも袖ごしにしか触れない。 後宮・梅壺の更衣の葬儀で、露はうっかり亡骸の衣に素手で触れ、「この方は寝床で亡くなったのではありません」と口走ってしまう。凍りついた広間でただひとり、彼女に椿餅を差し出したのは、泣きも笑いもしない美貌の陰陽師・昴だった。 その椿餅は、なぜか懐かしい味がした。 後宮では、亡き更衣の霊が出ると噂されていた。新しい中宮が立つまで、あとひと月。銭勘定にうるさい叔母・時雨の手で、露は陰陽寮へ貸し出されてしまう。女孺として後宮に入りこんだ露の相棒は、死者が見える昴と、幽霊がまるで見えず、胸の痛みまで空腹と取り違える滝口の武士・猛。三人は丑の刻にだけ現れる打橋を渡り、死者たちのとどまる「夜の後宮」へ踏みこむ。 書き換えられた死に場所。届かなかった一通の文。そして叔母がくり返す警告――向こうで、自分の涙だけは流すんじゃないよ。 それにしても、この陰陽師はどうして毎日欠かさず椿餅を届けてくれるのだろう。 十年前、はじめて出た葬儀で、母親の棺にすがって泣いていた男の子がいた。その子のぶんまで泣いてやった日にもらった椿餅の味を、露はいまも覚えている。顔のほうは、さっぱり覚えていないけれど。 銭を数えるはずの叔母の数珠が、月のない夜にだけ鳴りやむ。十年前のあの葬儀も、月のない夜だった――。 腹ペコ泣き女と泣かない陰陽師が拾いあげる、最初の「最後の想い」。 再会から始まる和風後宮ファンタジー。 ※平安時代をモチーフにした、架空の世界の物語です。 連載への匂わせは、時雨の数珠と「月のない夜」、それに「最初の」の一語に込めました。謎の答え(右近、頭中将の隠蔽、文の行方)は伏せています。閉じる
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ネオ・デビューネオ・デビュー2026-10-22 17:28創意工夫ありし者創意工夫ありし者作者のひとりごと作者のひとりごと
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