翌日、校門付近で神楽に話しかけられた。
「新、闇金辞めるみたいよ。貴方たち、どんな魔法を使ったの? 信じられないわ」
「俺は何も。暁人の言葉が胸に響いたとか、そんなところじゃねーの」
本当に、俺は何もしていないのだ。言おうと思ったことは全て暁人に言われてしまったし。
「そう。じゃあ、私行くわね」
神楽の姿は、すぐに見えなくなった。
「落合さんと知り合いだったの?」
咲夜は、そう俺に話しかけた。どうやら、意外だったらしい。
「あぁ、まあな。新のことでちょっと」
「落合さん、ちょっと独特だよね。私同じクラスだけど、教室にいるの授業中くらいだし。あ、私委員会あるからまたね!」
咲夜も去っていった。何もすることがない俺は、教室へと向かう。扉を開けると、
「良かった〜落合が取り立てやめてくれて。助かった……あ、夢野! おはよ」
「獏知ってるか? 最近流行ってた闇金稼業の落合、廃業したんだってよ」
意外にも影響は大きかったみたいだ。他のクラスメイトも、安堵の表情を浮かべている者が一定数いる。
「闇金なんて手出すなよ……」
「仕方ねーだろ、欲しかったゲームが十万近くしたらさー」
暁人だったら、もっと厳しく追求しそうだが俺は鬼ではないのでこの一言に留めておく。
「手の届く範囲のモノを買え」