放課後、俺と月影は橋本のところへ直行した。高尾は先に帰ったらしく、非常に都合がいい。
「橋本、高尾のことなんだけどさ」
長身で筋肉量もある橋本は、威圧感を愛嬌で消し去っている。
「北斗がどうかしたのか? 今日はやりたいゲームがあるとかで帰っちゃったけど」
橋本は何も知らないみたいだ。それでも、もしかしたらヒントくらいは持っているかもしれない。話を続行する。
「ほら、最近様子がおかしいとかないか? 寝不足気味だったりとか」
「ああ、そういえば確かに普段より苛立ってる感じがするな。それがどうかしたのか?」
橋本は事情を明かせば協力してくれそうな雰囲気だ。もう一歩踏み入ろう。
「実は……俺たち、オカルトだから信じても信じなくても良いんだけど。人の見ている悪夢を退治してるんだ」
声には出なかったけど、「何言ってんだコイツ」という顔をされた。大体の場合こうった顔をされるのでもう慣れてきたが、それでも心に刺さる何かがある。
「そうか……」
痛々しいものを見る目の橋本。これ以上話しても、仕方がない。
「まぁ、そういうことだから! ごめんな、時間とっちゃって」
「良いけど別に……何か大変そうだな、お前ら」
俺らは鞄を持って、部室に移動した。