世間ではクリスマスと呼ばれるシーズンに突入した。俺たちもたまには部活らしく、ということで各々プレゼントを持ち込み交換することになっている。俺が選んだのは、無難に文房具だ。他のメンツが何を持ってきているのかはわからないが、俺は密かにこのイベントを楽しみにしていた。プレゼントで、その人の趣向を読み解くのが楽しみ、と言った方が良いかもしれない。
「じゃあ、プレゼントを回していきましょう! 私がストップというまで、よろしくお願いします~!」
こうして始まったプレゼント交換会。ぐるぐるプレゼントを回していると、「ストップです!」という月影の声がかかった。俺の手元にあるのは、オレンジ色の袋。結構重いので、中身に期待が出来そうだ。
「皆さん、準備は良いですか? オープンです!」
開けると、美容品だらけだった。恐らくこれは、咲夜か望月のだろう。暁人が「文房具か。消耗が早いから助かる」と喜んでいたので、俺の判断は間違っていなかった様だ。
「副部長が持ってるのは私のプレゼントね。私のは……マフラー?」
「あ、それは私が作ったの。誰にあたっても良い様に、無難な色になってるけど」
俺も咲夜のプレゼントが欲しかったが、まあ仕方ない。
「私のは……枕?」
「そうです! 私が月影まくらなので。低反発ですよ!」
一番かさばりそうな物が咲夜に当たった。まあ、本人が気にしていないしいいか。「ということは、私は夜見くんかな? これは……サッカーの観戦券?」
「そうだ。この間奈切先輩のプレーを観て貰ったと思うが、プロの世界にはもっと凄い人たちが沢山いる。彼らのプレーを観て貰おうと思ってな。まあ、これが使えるのは二月末からなんだが」
月影と暁人。中々異色のコンビだ。兄妹に見えないことない……いや、流石に無理がある。ただの友人なのに誤解が生まれるかもしれないのは、何とも複雑な気分だ。
その後も開封作業は続き、気がつけば正午になっていた。折角のクリスマスだ、今日くらいはファミレスに食べに行っても良いかもしれない。
「なあ、今日は外食にしないか」
「良いですね!」「たまには、良いかもしれないな」
各々の了承がとれたところで、俺たちは部室を後にした。