「後半も全力で行くぞ!」
「リユならできる!」
「いっくぞ! リユニオン!」
(俺はもう大丈夫。さあ、いこう)
舞台袖で円陣を組み、メンバー全員で後半に向けて気合いを入れ直すと、新曲用のブレザー制服風の新衣装に身を包んだ俺たちは、ステージへ勢いよく飛び出した。
(俺はリオンだ。もう、なにも怖くない)
手の震えも喉のつかえもなくなった俺が今やるべきことは、前を向いて全力を出すことだと自分に言い聞かせ、俺はステージ端っこの定位置につくと、満員の観客席に向かって大きく手を振った。
すると、観客席のファンの人たちから、俺の名前や心配する声が絶え間なく聞こえてきた。
「さあ、後半も始めますよ。一曲目は、みなさんお待ちかねの新曲です」
「でも、その前にー。おい、リオン! こっちへ来いよ!」
レンさんにステージの中央へ呼ばれ、俺は慌ててレンさんの元に駆け寄った。
「ったく。前半休みやがって。みんなー! リオンのこと心配してたよなー?」
レンさんの声掛けに、観客席から俺を心配する声と、ペンライトの色が次々と俺のイメージカラーであるオレンジに変えられた。
「みんな……」
観客席一面がペンライトの明かりでオレンジ色に染まると、俺は胸の詰まるような嬉しさが込み上げ、言葉が続かなくなってしまった。
「ほら、リオン! みんながお前のこと応援してくれてるんだ。後半はしっかりやれよ!」
俺の肩を掴むように腕を回してきたレンさんに引き寄せられると、俺は観客席に向かって全力で笑いかけた。
「当たり前じゃないですか、レンさん! みんな、心配させてごめんね! やっぱ俺がいないと、リユニオンは始まらないよね!」
観客席に向かって投げキッスをしてから手を振ると、黄色い悲鳴が聞こえ、オレンジ色のペンライトが一斉に激しく振られた。
「コイツー! 生意気に、心配させやがってー!」
今度はルカさんが背後から俺の首に腕を回してくると、そのまま後ろへ引っ張られるようにしながら軽く首を締め上げられた。
「く、くるしー! やめてくださいよ、ルカさーん! ギブギブ!」
俺とルカさんのやりとりに、観客席から笑いと黄色い悲鳴が聞こえる中、俺は回されたルカさんの腕を叩いて、必死にギブアップを伝えた。
「ほら、そこ! ステージの上でイチャイチャすんな。やるなら、裏でやれ。俺たちみたいにな」
レンさんはサクヤさんに腕を絡ませると、観客席から俺とレンさんのときとは比べものにならないくらい、激しい黄色の悲鳴が会場中へ響き渡った。