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第107話

 姉とも仲直りはできた

 まあ元々中は良かったのじゃ

 あの時は母を殺され、姉に危険が及ばないように必死で逃げたからのぉ、姉と話す機会もなかった


 それはさておき再びフェンリナイトへと戻って来た

 人間形態になって降り立つと、当然のように叔父上がわしと姉上を抱きしめる

 全くどこから来たのか、全く気配がなかったぞ

「叔父上、痛いのじゃが」

「お、おうすまんすまん。アルビオナ、お前に会うのも久しぶりだな」

「はい叔父様。お母様が亡くなって以来ですね」

「お前たちには辛い思いをさせておるな。すまない」

「いえ叔父様、これも神獣たる私達の務めなれば」

 再開の挨拶も終え、わしらはフェンリナイトの王城へと案内された

 この国の王は別におるが、叔父上は神獣ゆえ出入りも自由なのじゃ

「会議室を借りておる。そこにリヴァイアもフェニクスもおる」

「え!? リヴァイア叔母様が!?」

 驚くのも当然じゃ。リヴァイア伯母上は海から出ると鱗が乾燥し弱体化する

 要は命の危険があるのじゃ

「二人が来たぞ」

「まぁまぁまぁ、お久しぶりねぇアルちゃんにティアちゃん」

「フェニクス伯母上、お久しぶりなのじゃ。それと始めましてリヴァイアおばう・・・。あの、大丈・・・」

「んあ~、だめだ~。ボクもう死にそうだ~」

 リヴァイア伯母上は干からびかけており、カヒューカヒューと呼吸も細い

「こらフェニクス! あれほどリヴァイアに水をかけるのを怠るなと言っただろう!」

「だって~兄さん~、わたくし炎の塊みたいなものですから~、水なんて持ってったら~、消えちゃうもの~」

「・・・、そう言えばそうだったすまん」

 この叔父叔母たち、どこか、いや、かなり抜けている。母上は末っ子だったが、一番の良識神獣だったのかもしれん

 ひとまずからからになったリヴァイア伯母上に水をかけて復活させ、話し合いが始まった

「さてリヴァイア、フェニクス、先も話した通りセイヴを探し出し、奴を討つ。そのために力を貸してくれ」

「は~い」

「うん、ティフォンを殺したあいつ、許さないよ」

「そのためには我らの力をティア、もといルカに集める」

「わ。わしに!?」

「そうだ。俺たちの中でもお前は段違いに強い。それにセイヴとのつながりもある」

「た、確かにそうじゃが・・・」

 いや考えるまでもない。わしはセイヴを、母の仇を討つために今日まで生きて来た

 ならば

「分かった。叔父上、伯母上、姉上、どうかわしに力を貸してほしい」

「おう!」

「フフ」

「僕の力役立ててね」

「あなたに全てを任せてしまうことになるのは心苦しいけれど」

 そして四人がわしに手を翳した

 力が注ぎ込まれてくる

「う、うう、くふぅ」

 体が熱い

「あああ、んく」

「変な声を出すな。やりにくいだろうが」

「で、でもこれはんふぅうう」

 そしてわしの中に神獣全ての力が注ぎ込まれた

「ハァハァ、すまんなルカよ。俺たちはこれで」

「ごめんね~」

「海が荒れるかも・・・」

「ティア、いえ、ルカ。後は頼みます」

「ありがとう叔父上、伯母上、姉上!」

 全ての力を使ったためか、わし意外の神獣はキラキラと輝き消え始めている

「頑張れルカ!」

 叔父上が最後にエールをくれ、わしは神獣ティアマトーへと戻った

 そして窓から外に飛び立つと、上空で竜の姿へと戻った

 虹色に光り、わしは再び神獣に

「セイヴ。お前を討つ。必ずな。待っておれ」

 わしはまず探知を始めた

 この世界にはおらぬのじゃろう

 ならば上下か横か

 わしの探知はもはや、次元も世界も超える

「見つけた」

 いくつかシフトした世界に奴はいた

 おそらくこちらをうかがいながらほくそ笑んでいるのだろう

 そしてわしはセイヴと同じく世界をシフトした


 その世界は様々な建築物が並ぶ異様で異質な世界じゃった

 巨大な建物はわしのおる世界では確実に建立不可能じゃろう

 その建物が乱立する一番高い建物

 そこに奴の気配があった

 わしはすぐにそこへと飛び、急襲してやった

 ガシャンと窓を破壊し、椅子に座る奴を見た

「やぁティア。いや今はルカと名乗ってるんだっけ? 見違えたじゃないか。僕があげた力まで使いこなしちゃって」

「セイヴ、久しいのぉ」

「久しぶりの再会を祝してさ、一杯どうかな?」

「ふざけるなよ。わしはお前を殺しに来たんじゃ。分かっておろう」

「ハハ、まあそうせかさなくてもいいじゃないか。昔はセイヴ様セイブ様ってあんなに懐いていたのに」

「わしはお前を見誤っておった。母の、そして勇者ランスの仇、討たせてもらおう」

「出来るならね」

 わしとセイブはお互い戦闘態勢に入った


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