ファンファンが進化する数分前
鬼人の国キガシマとサイラの国
「ここが鬼人がいる国かぁ。鬼ってうちの伝承じゃ悪者? じゃあ退治しなきゃ。これは正義の行いだからね」
いかにもな女子高生と言った風貌の少女が上空から指でっぽうのようにして指を島に向ける
「ジ・エンド」
指先から光が出たかと思うと、島にいた人々がバタバタと倒れて行った
「うちの力は終わり。全員終わったかな?」
島を一通り見回す少女
その目端に写る二つの影があった
サイラであろう二人の男女
「兄さ、ま」
「カガミ・・・。く、なんだ、突然、命を吸われた、かのような」
「あっれ~?生きてんじゃんすごーい」
少女はサイラの長、ミズキに指を向ける
「兄様!」
とっさにカガミが庇い、カガミの目から光が失われ、倒れた
「え? カガミ、嘘だろう? へ、返事をしろカガミ! カガミぃ!!」
「ふーん、愛だねっ。でもあんたら悪いやつでしょ? 正義執行~」
少女が再び指を向けたところに何者かが割込み、少女の指を斬り落とした
「あっつ! いったーーーい!! 私の、私の指が!!」
「早くお逃げなさいミズキ!!」
そこに立っていたのは白と黒の鬼人の姫二人だった
「ハク、クラ・・・。だがカガミが、そいつに」
「カガミが何のためにあなたをかばったと思ってるんです!? ここは逃げて!」
「・・・。すまない」
カガミの死体を抱え、ミズキは消えた
「ハァハァ、ハァハァ」
「あんたら鬼だ。生かしちゃおかない。悪鬼滅殺~」
少女が斬られていない方の指を向けた
「ジ・エンド」
しかし二人はその光が撃ち込まれるよりも早く少女の背後にまわった
「白撫で!」
ハク姫が刀で撫でるように少女の背中を切り抜いた
「え?」
信じられないと言った表情で目を見開く少女
「あれ? おかしいな? 正義は、勝つ、のに」
「何が正義だ! 罪なき民をこれだけ殺しておきながら!」
クラ姫はとどめとばかりに少女の首を断った
「く、はぁはぁ、うぐ」
最初にやられたジ・エンドによる無差別攻撃でかなり消耗していたが、二人は何とか生き残った
そして安心したのもつかの間のこと
「あらー、ミナちゃん死んじゃったね。でもまだ役目が終わってないからさ、起きてよ」
全く気配を感じず目の前にいつの間にか立っていた男
「あ、ああ」
その力の大きさに絶対にかなわないと察した二人の姫
「まったく、力はちゃんと理解して使わないとねミナちゃん」
「セイヴ、うち死んじゃったぁ! 痛かったよぉ」
「よしよし、まあ蘇れたんだからいいじゃない」
振り返ると、無傷の、ミナと呼ばれた少女が立ち上がっていた
「セイヴ、処刑していい?こいつら」
「いいよ」
許可を得たミナは突然クラ姫の頭を掴むと、その美しい顔面に膝を叩き込んだ
「ぐが」
ぐしゃりと潰れるクラの顔
牙がいくつかボトボトと折れ落ちる
「この!この! 許さない! 悪者のくせにうちを殺して! この!」
バキ、ボキ、と、クラ姫の骨が折れる音が響く
「あ、ぐが」
なすすべなくクラ姫は先ほどよりも強くなって蘇ったミナにより、グチャグチャの肉塊へと変えられ、絶命した
「あ、ああ、姉様・・・。ああああああああ!!」
ハク姫は恐怖の中失禁しながらも、怒り、ミナに斬りかかった
「もう動き、読めてるよ」
ミナはその刀を難なく避け、ハク姫のみぞおちに拳を突き入れる
「あっ」
胃袋が弾けるような感覚に嘔吐するハク姫
「きったな。まあ悪にはお似合い」
うずくまるハク姫の背中を蹴り、地面に倒すと、ミナは素手でハク姫の右腕を引きちぎった
「へぇ、こんなことも出来るんだ」
「強化しておいたからね」
「ありがとセイヴ」
「グァアアアアア!!!」
激痛にのたうち回り、自身の失禁したものにまみれるハク姫
それでも立ち上がろうとした彼女の頭を踏みつける
「死ね」
ミナはゆっくりと足に力を入れて行った
「あ、あああああああ!! ね、ねえさ、ま」
だんだんとハク姫の頭が地面にめり込んでいく
「意外と硬い」
「一応鬼人ってこの世界ではかなり強い部類だからね」
「そうなんだ」
「う、ぐ、あああ」
メキメキと頭蓋から音がする
ハク姫は走馬灯を見始めているのか、目が虚ろになっていた
「じゃ、一気に行くよ」
ミナはさらに足に体重をかけ、一気にハク姫の頭を踏みつぶした
「あ」
ハク姫は頭を踏み抜かれ、白宝珠と呼ばれるほどの美しさを誇った姿は見る影もなくなった
「これでここも終わりかな。一匹逃げたけど、あれは放っておいてもいいか」
「雑魚だったもんね」
「君も死んだじゃん」
「そ、それはそうだけど、セイヴが生き返らせてくれたし。いいもーん」
鬼人の国の宝珠であった二姫の死体を蹴り、ミナとセイヴは去って行った