……っ!!!
やばいやばいやばいやばい!!
今、エッチって、言ったよな!
言ったよな!?
よっしゃ!!……っ、じゃ、なくて、えっと、何すんだっけ、えっと、なんか、順番、考えてたはずなんだけど……えっと……
頭が真っ白になって、一気に下半身に熱が集まってくる。
脳みそは完全酸欠状態だ。
「……ふふ、風呂……、沸かすよ。……いっ、一緒に、入る?」
巻き付いている陽向の手をぎゅうっと握りしめた。
「…………やだ、……恥ずかしい、です。」
そう言って頭をぐりぐりと俺の背中に押しつけてくる。
あーーー、だめだ、くらくらする。
落ち着け落ち着け、暴走すんなよ。
このままうっかり押し倒してしまわないように、
強く巻き付いている腕をぐいっと引き剥がして、
陽向をみないようにして、洗面所のドアを開けた。
お湯はりボタンを押すと、俺の心とは反したのんきな音声が流れ、お湯が噴き出してくる。
「あ、えっとタオルここ、出しとくな、多分、身体洗ってる間に、お湯、溜まるはずだから、……えっと、着替えとか……」
「秋斗さん……」
「なななな、なに?陽向……」
洗面所のドアの所に陽向が立っている気配がする。
必死に顔をみないようにしているから
陽向がどんな表情なのか、わからない。
「……あの、秋斗さん……そ、そんなつもりじゃ、なかった、です……か?」
へ……?
そんなつもりって、
どんなつもり?
意味がわからなくて
電車の中以来、初めて陽向の顔を見た。
……っ!
そこには真っ赤な顔をして、目には涙を溜めて、今にも泣き出してしまいそうな、陽向がいた。
え、えっ!?え!!!?
なんで!どうした!?
「陽向っ!?……どうした?大丈夫!?」
慌てて陽向のそばに駆け寄ると、その大きな瞳に留まりきらなくなった雫がぽろりと落ちてきた。
「……っ、秋斗、さん、……さっきから……なんか、俺のこと、見て、くれないし……秋斗さん、ご飯だけの、つもりだったのに……俺が、変なこと、言っちゃって、……びっくりしてるの、かな……引かれ、ちゃったかな……って……っく」
はぁ……俺。
最低すぎだろ。
1人で興奮して、1人で盛り上がって……。
陽向がどんな想いで、誘ってくれたかなんて、考えられなかった。
こんな、悲しい想いさせて。何が彼氏だ。
小さく震えている陽向の肩をぎゅっと抱きしめる。
「ごめん……ごめん、陽向。俺、陽向に会えて、嬉しすぎて……、家に陽向が来てくれたことで、興奮しすぎてた。……この前みたいに、暴走しないようにって、必死で。陽向の顔見ちゃったら、我慢できなくなりそうな自分が怖かったんだ。」
丸くつるんとした頬を親指でなぞり、こぼれ落ちてきている雫を指ですくった。
「…………、よかったぁ……。……でも、あの、俺も男なので、……その……、我慢とか、しなくて……いいです!俺、今日は秋斗さんに、抱かれに、この家に、きましたっ!」
顔がみるみるタコのように赤くなる陽向。頭から湯気すら見えそうだ。
ははっ……ほんと、告白してくれた時といい、
陽向の方が、肝が座ってる。
俺もいつまでもびびってないで、ちゃんと気持ち伝えねーとな。
「陽向。抱きたい。ずっと、したくてたまらなかった。だから、風呂から上がったら、覚悟しといて」
「……っ!!……おおおっ、お風呂っっ!は、はいってき、きききますっ!あのっ!着替えは!実家泊まってたので、持ってますっ!そそそそ、それじゃっあの!!またっ……失礼しますっ!!」