「可愛い……」
思わず口から出てしまった。
そっと目を開けた陽向の目はとろりと熱を持っていた。
陽向の左手がきゅっと俺の指を握ってくる。
右手は着けたばかりのピアスにそっと触れていた。
「……秋斗さん、俺、嬉しい、です。これ、ずっと大事にします……。あ、あと、旅行……行きたい。一緒に、一日中ずっと、いたい…………好き、好き……大好き、あき……」
そんな事を潤んだ目で言われて
我慢なんて、もうできるわけがなかった。
最後まで陽向に喋らせられず、唇を塞いだ。
「んっ……ふっ、っあ、」
ゆっくりゆっくり、ゆっくりしろ!呪文のように唱えているが
手が止まらない。
キスの息継ぎの合間に
一気に陽向の着ていたもの全てベッドの下へ放った。
陽向の肌が気持ちよく俺の手に吸い付いてくる。
「あっ、で、電気、明るい、……消して……」
「ごめ、そんな余裕、ない……」
電気を消してる時間なんてもったいない。
何より、陽向の綺麗な姿を、この目に焼き付けたかった。
ゆっくり、しよう、そんな理性を裏切るように
勝手に手が動き、陽向の太ももへ指を這わせていく。
だめだ、ちゃんと慣らしてから、ゆっくりゆっくり時間をかけて! わずかな理性が頭の片隅で叫んでいる。
一旦、深呼吸しよ、そうだ、新作のワインの名前……
覆い被さっていた身体を一旦起こし、理性をなんとか取り戻そうとする。
そんな俺をじっと見つめてくる陽向が
ふわっと髪の毛が広がる枕の下へ手を入れる……
まって、そこは……!
え?
「……はい、これ。……あの、大丈夫……です。ずっと、したくて……毎日、あの……その、じゅ、じゅんび、してたので、すぐ……入れて…………下さい。」
隠していたはずのローションとゴムを手渡された。
げ、隠してたの、バレてる……じゃなくて、
何て?
毎日、準備、してた?
「……俺、早く、秋斗さんと、気持ちも、……身体も、繋がりたくて……ずっと」
「……っ!もう、……知らないからな、陽向が、……陽向の、せいだからな……」
自分が我慢できないのを陽向のせいにして。
俺は最低だ。
……、
いや、それは、なんか違う。
お互い、お互いを求めているんだ。
早く一つになりたい、って。
バシッと陽向の手からローションを奪い取るように受け取り、
ゴムのパッケージをピリピリと開ける。
人差し指と中指をそこに押し当てると
吸い込まれるように中へ誘い込まれた。
「やば……やわらか」
「……っ、ん、」
のけぞった綺麗な首筋にたまらず唇を這わせ、甘く吸い付く。
白い首筋に花びらが散る。
なんて綺麗なんだ。
柔らかなそこへそっと、薬指も増やしてみる。
とろりとローションが陽向の白い肌を伝う。
「ほんとだ、すぐ、はいれそ」
耳元でそっと伝えると
自分から誘ったくせに顔を真っ赤にして、両手でその顔を隠してしまった。
十分に柔らかいことを確認してから、指をそろりと引き抜いた。
はぁ、はぁ、興奮で、息が上がる。