目次
ブックマーク
応援する
16
コメント
シェア
通報

第102話 初めてを君に⑦〜side秋斗〜

「可愛い……」

思わず口から出てしまった。

そっと目を開けた陽向の目はとろりと熱を持っていた。

陽向の左手がきゅっと俺の指を握ってくる。

右手は着けたばかりのピアスにそっと触れていた。


「……秋斗さん、俺、嬉しい、です。これ、ずっと大事にします……。あ、あと、旅行……行きたい。一緒に、一日中ずっと、いたい…………好き、好き……大好き、あき……」


そんな事を潤んだ目で言われて

我慢なんて、もうできるわけがなかった。

最後まで陽向に喋らせられず、唇を塞いだ。


「んっ……ふっ、っあ、」

ゆっくりゆっくり、ゆっくりしろ!呪文のように唱えているが

手が止まらない。

キスの息継ぎの合間に

一気に陽向の着ていたもの全てベッドの下へ放った。

陽向の肌が気持ちよく俺の手に吸い付いてくる。


「あっ、で、電気、明るい、……消して……」

「ごめ、そんな余裕、ない……」


電気を消してる時間なんてもったいない。

何より、陽向の綺麗な姿を、この目に焼き付けたかった。


ゆっくり、しよう、そんな理性を裏切るように

勝手に手が動き、陽向の太ももへ指を這わせていく。

だめだ、ちゃんと慣らしてから、ゆっくりゆっくり時間をかけて! わずかな理性が頭の片隅で叫んでいる。


一旦、深呼吸しよ、そうだ、新作のワインの名前……

覆い被さっていた身体を一旦起こし、理性をなんとか取り戻そうとする。

そんな俺をじっと見つめてくる陽向が

ふわっと髪の毛が広がる枕の下へ手を入れる……


まって、そこは……!



え?

「……はい、これ。……あの、大丈夫……です。ずっと、したくて……毎日、あの……その、じゅ、じゅんび、してたので、すぐ……入れて…………下さい。」

隠していたはずのローションとゴムを手渡された。

げ、隠してたの、バレてる……じゃなくて、

何て?

毎日、準備、してた?

「……俺、早く、秋斗さんと、気持ちも、……身体も、繋がりたくて……ずっと」

「……っ!もう、……知らないからな、陽向が、……陽向の、せいだからな……」

自分が我慢できないのを陽向のせいにして。

俺は最低だ。

……、

いや、それは、なんか違う。

お互い、お互いを求めているんだ。

早く一つになりたい、って。



バシッと陽向の手からローションを奪い取るように受け取り、

ゴムのパッケージをピリピリと開ける。


人差し指と中指をそこに押し当てると

吸い込まれるように中へ誘い込まれた。


「やば……やわらか」

「……っ、ん、」

のけぞった綺麗な首筋にたまらず唇を這わせ、甘く吸い付く。


白い首筋に花びらが散る。

なんて綺麗なんだ。


柔らかなそこへそっと、薬指も増やしてみる。

とろりとローションが陽向の白い肌を伝う。


「ほんとだ、すぐ、はいれそ」

耳元でそっと伝えると

自分から誘ったくせに顔を真っ赤にして、両手でその顔を隠してしまった。


十分に柔らかいことを確認してから、指をそろりと引き抜いた。

はぁ、はぁ、興奮で、息が上がる。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?