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第105話

「えぇっ!もうデートしたの?!」


萌はある日の昼休み、つい大きな声を上げてしまった。

なぜなら凪紗が、村田とデートをしたことをさぞ嬉しそうに報告してきたのだ。


「だってまだ1週間しか経ってないよ?!」


「うんっ♪だから週末にね、誘ったらOKしてくれたんです〜!」


「な…何したの?どんなデート?」


恐る恐る聞くと、凪紗は怪しく笑った。

積極性のある凪紗のことだから、どんな爆弾発言をするか分からない。


「庵さんね~、ちゃあんと車で迎えに来てくれて、まず私がリクエストしたカフェでランチして~、ちょうどどっちも見たかったって映画が判明したから映画館行って~、公園を散歩したり庵さんが好きだっていう場所をドライブしたり、最後はディナー行って、そのあとは……」


「そ、その…あとは……?」


ゴクリと生唾を飲み込んで次の言葉を待つ。

彼女は少し恥ずかしそうに、でもさぞ楽しそうに笑った。


「そのあとは〜……実は、庵さんの家に行っちゃいました〜!もうほんっっっとすっごくって!!」


「?!?!?!」


想像の斜め上をいったため、萌は言葉が出なかった。

だって初めてのデートでいきなり家に?!

普通そこはホテルとかなんじゃないの?!

ていうか……す、すごいって、な、何が??



「って!本條さんウケる!!なぁに赤くなってんですか本條さんまで!!」


「えっ、だっ、だって……」


なるに決まってるじゃないか!

というか……あの村田さんが……?

なんか想像つかない。

というかまさかの急展開すぎて困惑してしまう。

しかも、先程から、村田のことを下の名前で呼んでいることにも。


「はぁあ~。庵さん優しくてカッコよかったなぁ。やっぱり私、あぁいう彼氏がいい〜」


「………。」


つい、あんなことやこんなことを妄想してしまいそうになり、頭を振った。


どうやら付き合うことにはなってないようだ。

なのに家に……。

ということは、村田さんも脈アリだよね?

だって、じゃないと家になんて呼ばないよね??


「そ、そうだ。夫と話してたんだけど、今度うちに遊びに来ない?ヤマトくんと航くんも呼んで。」


「わあ!行きます!行く行く~♡もちろん、庵さんも来るんですよね?!」


「えっ」


そこは盲点だったため、ハッとする。

言われてみれば、先日の車のメンバーならば村田も入っているし、彼だけを呼ばないのも失礼だろう。


「……うん。聞いてみるよ。」


「わぁ~いっ☆ 本條さんち絶対ヤバめなおうちですよね?楽しみぃ~!」


ということで、あれよあれよと日時は決まり、そして夕食後に、ある人物から電話があった。


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