"視えて"しまう鷹羽雪緒が呪いに遭遇し、黒猫茶屋と決して開店しない古書店のイケメンマスター、その幼い娘の千百合の3人と5(?)匹の黒猫の助けを得て、毎回呪いの対象が変わる怪異事件を解決していきます。鷹羽は、マスターのバディのようなポジションで2人はシャーロック・ホームズとワトソン医師のような関係のように見えます。そういう面では、現実の事件と呪いの違いはありますが、探偵小説のようです。さしずめ、お疲れWeb小説編集者・鷹羽雪緒とイケメンマスターの怪異事件簿とでも言いましょうか。
もちろんホラー本来の怖さも健在です。人間の業、醜い感情に由来する呪いが本当に真に迫っています。現在、3つめの呪い事件(第63話)が最新ですが、回を追うごとにどんどん怖くなっていっています。
ホラー以外の描写も秀逸で目がいってしまいました。Web小説投稿サイト編集者鷹羽のハードな仕事の描写は、作者のミスミシンさんの実体験ではないかと思えるぐらいリアルです。ネオページの編集者さん達も身につまされるのではしょうか。鷹羽の職業の設定は、このホラー作品に上手く生かされていて、Web小説と怪異が巧みに繋がっています。
喫茶店の描写も、目に浮かぶようでリアルです。バニラアイスの乗ったわらび餅に黒蜜ときな粉のハーモニーがとても美味しそうでした。他にもアップルパイとか出てきて、そんなスイーツがおいしそうとか思って読んでいたら、ウギャーなホラー展開がその後すぐに来てその落差にジェットコースターみたいにドキドキしました。でもって、そのスイーツにも実は秘密があったりします。
その他、マスターの素性(名前が未だに不明!)など、色々まだ分からないことがあり、伏線回収(されないかもしれませんが)が待ち望まれます。