俺はなんだかんだで狭山さんとの飲みを楽しみ、千歳も緑さんとのハイティーを楽しんできたようだ。
『揚げ物とパイと肉たくさん食べた! すごくうまかった! いっぱいおしゃべりしてきた!』
「そりゃよかったねえ」
普段、俺が油物ダメで揚げ物あんまり食べないもんな。そりゃおいしかっただろう。
『お守りの組紐も、緑さんすっごく喜んでくれた!』
「あ、そうか、今日渡したんだ」
このところ、千歳はせっせと組紐を作っていたが、そうか、今日緑さんに渡すのに間に合わせるためか。
『星野さんにも、明日お守りの組紐渡すんだ。あ、それでな』
千歳は、テーブルにおいてある、組紐に使う糸束を指さした。
『次、お前のおばあさんと、あと、金谷家の人たちに組紐作るんだけど、お前のおばあさんにさ、何色の組紐がいいか聞いといてくれないか? 足りない色だったら、買い足さないといけないからさ』
千歳が指差す先は、けっこういろんな色の糸束があるが、もう何本か組紐を作ったし、足りない色も出るのだろう。
「うん、ありがとう。聞いとくけど、今日は多分もうおばあちゃん寝てるから、明日以降にLINEするよ」
そういうわけで、翌朝、朝食を食べて食器を洗った後におばあちゃんに連絡を取った。すぐ返事が返ってきて、青と水色と青紫をメインに作って欲しいそうだ。
「あのね、それとね、職員の人が、今コロナ減ってるから、減ってる間だけ直接の面会受け付けますって言っててね」
「そうなの!?」
「でも、詳しくは職員さんに聞かないと、よくわからないの」
「九時以降老人ホームに連絡できるから、後で電話して聞いてみるよ、OK出たら面会に行く!」
「ありがとうね、待ってるわ」
よかった、おばあちゃんと直接会える!
食後のみかん(星野さんがくれた)をむいていた千歳に、俺はおばあちゃんとの連絡内容を伝えた。
『その色なら買い足さなくても作れるぞ。じゃあ、お前のおばあちゃんに先に組紐作って、お前が面会に行く時に持ってけるようにするな』
「ありがとう!」
九時に老人ホームの職員さんに電話したところ、コロナのリスクがなくなったわけではないので、一回に一人、肉親のみ面会可能、と言われた。うーん、おばあちゃんは千歳にも会いたかったかもしれないけど、まあ、俺ひとりで我慢してもらうしかない。
俺は自分の予定を見直して時間を作り、職員さんに改めて連絡して面会の予約を取った。一息ついてから、俺は、はたと気づいた。そういえば、おばあちゃんにちゃんと会えたら、千歳は別に彼女でも何でもないってちゃんと説明するつもりだった……。うわー、気まずい、どうしよう……。でも、嘘を付き続けるわけにも行かない……。
俺は大きくため息を付いてから、腹をくくった。仕方ない、おばあちゃんに直接会って、千歳のこと、ちゃんと話そう。