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番外編 金谷千歳の思案

 錦くんに手を握られてから、なんとなく気まずい。

 ワシは手を握られるのが苦手なのかな?それとも、恋愛的な意味で触られるのが苦手なのかな?

 星野さんに車でホームセンターに連れてってもらう日だったから、その辺のことを星野さんに相談してみた。


「そうねえ、私が千歳ちゃんの手を握ってみて、嫌じゃなかったら、手を握られること自体は大丈夫ってことじゃない?」

『本当だ!』


 ワシは星野さんの提案に嬉しくなった。


『じゃあワシの手握ってみて』

「はいはい」


 ワシが手を差し出して、星野さんがワシの手を握った。星野さん、歳の割には若い方だと思うけど、さすがに手は年相応だな……。

 星野さんに手を握られてみて、ワシは、困った感じも気まずい感じもしなかった。


『全然変な感じしない。手を握られるの自体は平気だ!』

「じゃあ、錦くんって子に手を握られるのが困るってことじゃない?」

『そうかも……』


 ワシは少し考えた。うーん、でも星野さんが女の人だから嫌じゃなかった可能性もあるかもしれない。じゃあ男に手を握ってもらって試さなきゃいけないけど、それは和泉に頼めばいいか。


『錦くんが男で困ったかもしれないから、和泉に手を握ってもらって、嫌じゃなかったら、そしたらもう恋愛的な意味で触られるのが困るってことだと思う』

「和泉さんに?」


 星野さんは少し意外そうな顔をし、首をひねったけど、「まあ……千歳ちゃんに嫌がられなかったら和泉さんはうれしいかもね」と言った。


『そうなのか?』

「まあ、その、多分ね」

『じゃあ、和泉に頼もっと』


 和泉ならそれくらい、いくらでもやってくれるだろう。あいつはとっても優しくて、いい奴だから。

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