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第65話 気分爽快じゃのぅ! ~ソフィアサイド~

最初はこいつらじゃのぅ。

蜘蛛じゃ蜘蛛じゃ。

蜘蛛がいる街のはずれの森に到着したのじゃ。


「えっと、依頼書を見ると……

 『スパイダーが大量発生。

 森に木を伐りにいけなくなっているので何とかしてほしい』らしい」


こいつらは一つ一つは大したことはないのじゃが……

集団で行動するのでのぅ。

連携されると少々厄介ではある。


「まぁ、焼き払えば問題なかろう」


「マリーも手伝いますわ」


「おぅ、そうか、そうか。

 それは嬉しいのぅ。

 でも、マリーの出番があるかのぅ」


「周りも焼き尽くさないようにしてくれよ」


あやつも心配性じゃのぅ。

仕方ないから多少は配慮してあげるのじゃが、そう上手くいくかはワシは知らんぞ。


「そろそろスパイダーの巣かな。

 大量発生と言うから100匹ぐらいかな」


100匹なんて少なかろう。

あいつらの繁殖能力はとてつもないからのぅ。


「バカを言うな、おぬし。

 あいつらがそんな少ないはずないじゃろ」


「もっと多いの?」


「たぶんじゃがな……」


そんな話をしておるからじゃ。

ふと周りの気配を察知すると大量のやつらじゃ。


「そろそろお出ましじゃぞ」


前方からもそもそとスパイダーが現れよった。

その数……

数えるのも疲れるほどじゃ。

森の隙間と言う隙間にモゾモゾと這ってきてあらゆる隙間を埋め尽くしておる。


「うわぁ。

 こんなにいるの?

 気色悪っ」


あやつはあまりの多さに気持ち悪そうにしておる。


「マリーもこんなに多いのは初めて見ますわ」


薄気味悪いと言わんばかりのマリーじゃ。

このワシもあまりいい気分はせんが……


「ザコが大量にいてもザコはザコじゃ。

 さてと、一気に薙ぎ払うぞ。

 マリーはあっち側をやってくれるかのぅ」


「了解しますしたわ」


そういうとワシとは反対の方にマリーは向かっていった。


「さぁ、暇つぶしに憂さ晴らしの開始じゃ!

 闇の炎(ブラックフレイム)!」


赤黒く光った炎を手のひらに詠唱すると、瞬く間に膨れ上がっていく。


「ちょっとデカくないか」


あやつはあまりの大きさにびっくりしておる。


「ちょっと溜まったものがあるからかのぅ。

 そう気にするな」


そして膨れ上がった炎の玉を無数におるスパイダーに打ち込む。

放たれた炎はスパイダーに触れるやいなや、次々と跡形もなく燃やしていく。

その道筋には何も残らず焼き尽くされていく。


「んーっ

 ザコが燃えていく様。

 気分爽快じゃのぅ」


思わずにやついてしまうのぅ。

ただまだまだおるようじゃ。

巣をぶったたくまでは続くのじゃろぅ。


「さてと今度は五月雨に打とうかのぅ。

 闇の炎(ブラックフレイム)!

 闇の炎(ブラックフレイム)!

 闇の炎(ブラックフレイム)!

 闇の炎(ブラックフレイム)!

 闇の炎(ブラックフレイム)!」


5つの炎が現れ、それぞれの方向に散っていく。

散るとともにスパイダーたちを消し去っていく。


「たまらんのう」


「ゾルダは絶対にSだろう……」


なんかあやつがボソッと言っておるがワシは気にせんぞ。

スパイダーを一気に焼き払ってやるのじゃ。


わんさかと出てくるスパイダーたちを焼き払いながら進んでいく

そして、ようやく本丸の巣までたどり着いたのじゃ。


「こいつが親玉じゃ」


さきほど出てきたスパイダーより一回りも二回りも大きいスパイダーが姿を現す。

大きな蜘蛛の巣の上にのうのうとしておるのぅ。


「こいつを倒せば終わりじゃ!

 さらに特大のをお見舞いしてやる。

 闇のー炎(ブラックーフレイム)!」


大きな魔力を込めて特大の一発をお見舞いしてやったぞ。

蜘蛛の巣も含めて跡形もなく吹き飛ばしてやったわ。


「ふぅーっ。

 これでここは終わりじゃな。

 さぁ、次へ行くぞ」


「なぁ、ゾルダ。

 ちょっと力使い過ぎじゃないか?」


またもワシの事を心配しておるな。

そんなにワシはか弱く見えるのかのぅ。


「そんなことはなかろう。

 力加減する方が疲れるのじゃ。

 さっさと次へ行くぞ」


「本当に無理するなよ。

 次はローパーってやつかな。

 洞窟内部にこれも大量発生しているみたい」


「洞窟内じゃと?

 ちと厄介じゃのう……」


「なんで厄介なんだ?」


「……全力で力がだせんのじゃ」


「そっちかい」


「いっそのこと、外からその洞窟を全部破壊するのはどうじゃ」


「それは止めてくれ……」


なんじゃ。

そっちの方が簡単なのにのぅ……。


ワシらは次の目的地であるローパーがおる洞窟へと向かった。


「ほぅ……

 ここがその洞窟か」


「なんか異様な匂いがするな」


「不気味ですわ」


「まぁ、ローパーがおるからのぅ……」


「ローパーってどんな魔物なんだ?

 スパイダーはなんとなくわかったけど……」


なんだあやつはローパーがわからんのか。

マリーはわかっておるから、ちょっと入るのに二の足を踏んでいるのにのぅ。


「見ればわかるのじゃ」


あやつには内緒にしておこう。

見たらどうなるか楽しみじゃ。


「さぁ、早く行くぞ」


そう言うとワシらは洞窟の奥に足を踏み入れた。


「マ……マリーは今回はねえさまに……お任せしますわ」


「仕方ないのぅ。

 やっぱりあれは苦手かのぅ」


「は……はい。マリーは苦手ですぅ」


しばらく歩くと洞窟内の広い湖に出てきた。

ワシらがそこに踏み入れると、湖面がうねりだした。


「おぬし、見ておけ。

 あれがローパーじゃ」


湖から大量の触手が出てきおった。


「な……なんだ、あれ?」


「あぁ、あれがローパーじゃ。

 海におるイソギンチャクってやつの大きな奴じゃ」


「ひや……マ……マリーはこのうにゃうにゃが苦手ですわ」


まぁ、よくもこれだ大量におるのぅ。

こいつらもここで繁殖しておったのかのぅ……


「ここは燃やすより氷漬けかのぅ」


その方が洞窟も壊さずにいけるしのぅ。


「いやいやいや~。

 ねえさま、早くこいつらなんとかしてください」


マリーは青ざめた顔でワシのもとへ寄ってきおった。


「わかったわかったから、マリー。

 すぐやるから待ってくるかのぅ」


あやつはというと、


「に……匂いが……

 臭すぎる……」


鼻を押さえて突っ伏しておる。

姿を見るどころじゃなさそうじゃ。


「おぬしも役に立たんのぅ」


「す……すまん……」


さてと……

じゃあ、ワシが行くかのぅ。

ワシは触手を伸ばし迫りくるローパーに向かい氷の矢を放つ。


「氷の矢(ブリザードアロー)」


無限に生み出した氷の矢を次々にローパーに放っていく。

ローパーは次々にカチカチになっていきおった。


「まぁ、こんなもんかのぅ」


出てきたローパーは氷柱になり、あれだけ広かった湖もガチガチに凍ってしまいおった。

ちぃとやり過ぎたかのぅ……

ここまで気分よくぶっ放してきたが、少し頭がクラクラするのぅ。

酒の残りじゃろうか……


「う……寒い」


あやつはブルブル震えておる。


「おぬしも見てみたらどうじゃ。

 この美しい氷の芸術を!」


「はいはい……

 次に行こう次に」


もうあやつはこの美しさがわからんのか……

まぁ、ここのやつらは全部凍りついたし、意味もないからのぅ。


「次はどこじゃ。

 もっと強い奴はおらんのかのぅ」


ここまでは爽快ではあったが、いまいち物足りんのぅ。

次はもう少し手ごたえがあるといいんじゃがのぅ。

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