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7-kiss 目覚めのキスをこれからも

 ――現実世界、白銀レインの部屋

 ソラが、VRMMOからログアウトすれば、


「あっ」


 と驚くくらいの状況ではあった。ただレインと手を繋いでログインしていた状態だったが、今はどういう訳か、彼女の背を横から抱え、その上で顔を自分の近くに引き寄せているからである。

 驚きはしたが、過去にも似たような経験はある。

 マドランナの時、起きたら抱き合っていたような状態だ。


(もしかしたら僕、リアルでもキス、したのかな)


 良く考えたあの時、衝撃だけでなくぬくもりを覚えた。だとすれば、ここでも無意識にしたと考えるのが自然かもしれない。

 顔がかぁっと熱くなるけど、今は、恥ずかしがっていられない。


「レインさん」


 未だ目を閉じた侭の彼女に、心配そうに声をかけた。

 ――その瞬間


「ああ」


 彼女は、声をあげた後に、ゆっくりと目を見開いた。

 そしてレインは、自分がソラに横から抱かれている状況シチュにも気付く。

 そして、


「良かった――」


 ソラがそう言って、心底安堵した表情を見せ、涙ぐむ様子を見せた瞬間、

 我慢がもう出来なくて、


「――んっ」


 レインは体を起こしながら、そのままにソラと唇を重ねた。

 力強く、情熱的に。自分の姿勢もずらしながらだ。体を起き上がらせていき、座り直し、やがて正面から抱き合うような姿勢になった。


「んっ、ふ、んぅ」

「んんっ――」


 ――少しソラの体が後ろへと傾くくらいに

 ソラはいきなりのレインの所為に、目を見開いて驚いたが、

 次第に幸せそうに、目を細めた。そしてそのまま、彼女になすがままにされた。

 ……ただ受け身になったソラ、貪るように、思いを伝えるように、唇を強く繋ぐ。

 ――どれだけの時が流れたか

 やっと、唇が離れる。

 ソラを覗き込むレインの顔は、涙ぐみながら笑っていた。


「ソラ、好きだ」

「はい」

「本当に、本当に、大好きだ」

「僕もです」

「また、キスしていいか」

「はい」


 そう言って、あの日出来なかった事を取り戻すように、またキスをする。言葉を間に挟みながら、何度も何度も。うれし涙すら交わるほど、強く、重ねて。

 ――いつ、自分も相手も、消えるかどうかも解らない世界で

 この幸せが嬉しくて、今がどれだけ尊いかを知った二人は、子供のように抱きしめあいながら、唇を何度も重ね続ける。


「レインさん、好きです、大好きです」

「ああ、お願いだ、もっと言ってくれ」

「大好き」

「私も、好き」


 色々あった二人だけど、

 この日の夜の幸せが有る限り、全てを、乗り越えていける気がしていた。

 唇重なり心は繋がる。







 だけど夏休みが終わる頃、

 アイズーフォーアイズはサーバー攻撃を受け、サービス停止に追い込まれ、

 白金しろかなソラはその罪で、全国に指名手配をされる事になる。


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