朝早く起きて、軽めに日課であるランニングをしたあと身支度を整える。
今日は継承の義だ。貧乏貴族の三男であるが、それでも平民より良い生活をしているので身だしなみには気をつけなくてはならない。
身支度を整え馬車で、20分ほど進んだ先に教会に向かう、そこで継承の義を行う。普段は誕生月の子供が一斉に、集まり一気にやるのだが、そこは貴族の特権で俺一人だけ受けにきた。
神父の前に立ち、お辞儀をして静かに待つ
「リラックスして気を楽にしなさい。すぐに終わるからね」とやさしく話しかけてもらい目をつぶる。
神父が、呪文を唱え肩に手を置かれた瞬間、目をつぶっていてもわかるくらいの眩しさが周りを包み込み徐々に明るさがもとに戻る。その瞬間頭の中に機械音みたいな声がささやく
〈ユニークスキルを獲得しました。スキル喰らい(スキルイーター)を獲得 なおユニークスキルの為、スキルとしては表示されません〉
スキルとして表示されませんだ‥‥‥と つまりそれは
「申し訳ない 今回の継承の義でレイ様が授かったスキルはありません 先程の光はなにか事故のようです」
ちょっと待て待て、待ってくれよ。
俺はたしかにスキルは持ってないがユニークスキルが、あ・・・るんだ。いやでもさっき確か頭の中にスキルとして表示されませんて言われたような。
これは不味いんじゃないか ・・・・・
俺は親の顔を見るために、オイルの切れたロボットみたいにギギギと聞こえそうな、硬い動きで両親に振り向くと、そこには今まで見たことのない顔で口を震わせながら、こちらを子供を見る目ではなく明らかに軽蔑をした目つきでこちらを、見る両親の姿があった。
俺のことを大切にしてくれていると感じていた母親の目を見た瞬間、体の温度が一気に冷えたように感じた。人はあそこまで冷たい目をすることができるんだと感じながら
帰る馬車の中は、重い空気の中にいるようだった
来る時の希望に溢れた空気から真逆で誰として話そうとしなかった。
馬車が家に着き、降りた直後
「お前は今日からしばらく部屋から出るな。今後のことは決まり次第伝える。我が家には能無しを置く考えは無いと思っておけ」父が、静かに、ハッキリと軽蔑しているのが言葉だけでわかるくらい告げた。この瞬間、俺は親から能無し認定をされた。
しかし実際には、ユニークスキルがあるから、能無しではないんだがな。
スキルとして見えないのだからそこは諦めるしかないだろう。
しばらくは部屋に、引きこもる生活になるんだし、誰にも邪魔をされないのなら、俺はこのユニークスキルを少しでも理解しなくてはならない。
能無し認定された人間が、貴族としてまともな扱いを受けるとは思えない。
俺は、部屋に戻り、すぐ自分のスキルについて考える。ユニークスキルで例え強力な力を持っていても使えなければ、本当に能無しとなってしまう。
なに、時間なら山程あるんだから、ゆっくり自分のスキルを、理解していこう。