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第七話 演目 意味をなさない

 縁達は工場地帯の様な街に来ていた。

 街からは機械音と共に悲鳴の様なものがあふれていた。


「何らや物騒な気配だな?」

「……お兄様、いずみからのメモを預かっています」

「どんな街なのか書いているんだろうな」


 メガネをキラリとしている、博識いずみでございます。

 縁さん、その街は非人道的な利益で発展した街です。

 ああ、名前はアロマテレッピン、表向きには科学者の街ですね。

 そして、私の加護を所持しているのは、リラックス研究所と呼ばれる所長さんですね。


 縁さん、相手は人間の感覚で非人道的な提案や攻撃をしてくるでしょう。

 ついでに私の加護も使っているでしょう、これは怖い事になりますよ。

 正しく使える頭が有って、貴方達に効果があればの話ですがね。


 風月は横から手紙を見ていた、そしてふと絆に質問をする。


「絆ちゃん、聞いてもいい? いずみはよく先回りしているね」

「いずみの力は言わば『何でも知っている』のです」

「……あ、もしかして『間違った情報』もあるって事?」

「ええ、世の中に間違った情報がどれだけあるか」

「うわ~考えたくないわ、いずみはすごいね~私だったら発狂するよ」

「実際にしていました、あふれてくる知識、正しいものなんて一握りですので」

「つまりは……何でも書いている百科事典が頭に入ってるって事かな? 例えるなら」

「はい、そして今も増えています、歴史は今も続いていますから」

「……いずみ、本当に大丈夫?」

「お姉様、リッシュは覚えていますか?」

「えっと……タベリアの街を治めている、絆ちゃんと縁の兄貴分だっけ?」

「ええ、いずみの夫なんですが」

「うぇ!? いずみ結婚してたの?」


 本当に驚いた顔をしている風月に対して、絆は言葉を続けた。


「はい、リッシュが『俺と世界見て回って、バカな俺に説明してくれ』って言ったらしいですわ」

「いい悪いは置いといて、喋るっていいからね」

「その結果、説明大好き人間が出来上がった訳ですが」

「いずみにも色々とあるんだね~」

「ああ、その時くらいだったかな? 俺も過去に色々とあったから、今の力がある」

「私もですわ、お兄様」

「それを言ったら、私もだね~」


 縁と絆はそれぞれ、ウサミミカチューシャを外した。

 何時も通りの神様モードへとなる。


「ここからは神の遊戯だ、いずみが遊べと言ってたしな」

「付き合いますわお兄様、どうであれ、いずみの加護を手に入れたのです、私達にあらがえるか見せてもらいましょう」

「……今回は自衛以外はしないどこ」


 縁達が街へと進んでいくと、見るからに爆弾巻きつけた人々が待っていた。


「ここは! 絶対に通さねぇ!」

「お前達を通したら俺の家族が!」

「か、家族だけは殺させはしない!!」


 突撃して玉砕覚悟で自爆をする。

 しかし、そんなものが縁達に効くわけがない。

 全員無傷で歩いている、そして避けるそぶりもしない。

 目的の研究所に向かって、ただ歩いている。


「お兄様、慈悲など不要ですよ?」

「ああ、あいつは悪人の中でもまともなだけだ」

「ええ、好き勝手してきて、自分の番になっただけですのに」

「相手にしない、どの道捨て駒だろうな」

「悪人だったら狂った様に悪人してくれ」

「悪人の道は厳しいですわね、失敗したら直ぐに捨て駒」

「身の丈に合わない選択をしたか、この結果なのだろう」

「本当に可哀想に、不釣り合いな事をしてまで、自分の幸せを逃がすなんて」


 歩いていくと今度は、見るからにSFでありそうな化物が待っていた。

 何かの失敗作ですと言わんばかりのソレは、縁達に襲い掛かる。

 だが縁達は無視をして、どんな攻撃でも3人の足取りはとまらない。


「今度は人体実験の失敗作か?」

「相手にするだけ無駄ですわね」

「ちなみに、縁と絆ちゃんは神としてなら、誰を救うの?」

「身の丈に合った生活をして、努力している者」

「不釣り合いな事をしていない人物、人の価値観の善悪問わず」

「なるほどね~私も気を付けよ~」


 そんなこんなで、目的地の手前まで来る。

 様々な大小問わずの重火器が、縁達を狙っていた。

 無論歩みは止めない、一斉射撃のあめあられだ。

 しかし、この3人に効く道理はない。


「ほう? 今度は神殺しの武器か」

「お兄様、私達小馬鹿にされてますわね」

「ああ、いずみの知識を使ってこの程度か?」

「いえ、事前準備していたものでしょう」

「これ避けるの面白いね~そして、無視して目的地に到着だね~」


 全ての防衛線は意味をなさなかった。

 当たり前だ、この程度でやられる神ではない。

 そして風月も世界規模で戦える人間だ。

 3人は正面から堂々と入っていったのだった。

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