縁達はあらゆる妨害を無視して、研究所の最深部までやってきた。
最深部には様々な機械と共に男の科学者が一人いた。
「ようこそ幸運の神様御一行、私は――」
「お喋りしたいなら勝手にするがいい、目の前してわかった事がある」
「お、縁、何がわかったのさ」
「こいつも色鳥と時と同じ、一定時間か何かの過程を踏めば、持ち主に戻る」
「……はっは~ん、さっき言った例え話で言うなら……本の貸し出しかな?」
「いい例えですわお姉様、その例えでお話を続けますと」
絆はそれはそれは楽しそうに、人を見下すように科学者の男を見た。
「返却日はいつなのかしら? というか、貴方自分の事は検索しました?」
男は絆の言葉を聞いて鼻で笑いながら、三下が言いそうな言葉を吐いた。
だが直ぐに言葉を詰まらせる、そして腰を抜かしてしまう。
「あらあらその反応……今更『自分の事』を検索したのかと」
「えぇ~? 何でもわかる力なら、最初に検索しない?」
「七星了司の為にしか考えてなかったんだろ」
「おお、たいした忠誠心……でもどうなるの?」
「ああ、その理由はもうわかる」
縁は全てを分かっているかの様にため息をする。
ほぼそれと同時に、東西南北の壁が突然音を立てて盛大に壊れた!
「依頼だ! この施設を止めに来た!」
「私の一族に手を出した事、後悔させに来た」
「奥様の命により、少々ご同行願えますかな?」
「やっと見つけたぜこの野郎! 生徒の敵を取りに来た!」
東にはたくましい筋肉、輝く笑顔が素敵な斬銀。
西には殺意に満ちた顔、界牙流三代目の炎龍。
南にはタキシードに身を包んだ、ボーン。
北には赤黒いジャージを着たサンディ。
ほぼ同時に4人が現れたのだ!
「うお!? 何だ!? え?」
「おお! 縁君に結びじゃないか!」
「おや、皆様ごきげんよう」
「縁!? お前最近学校きてねぇだろ!」
「おおぅ……いきなり知り合いパーティに」
4人はそれぞれの反応をした、風月はスッと斬銀を指差しす。
「はい、斬銀君は何でここに?」
「え? ああ、傭兵の依頼だよ」
「はい、お父さん」
「分家の一族が拉致されたから」
「はい、ボーンさん」
「奥様の命でございます」
「はい、シーナ先生」
「生徒が重症でここから逃げたした」
サンディがムッとした顔をしながら、縁達に近寄っていく、斬銀達もそれに続いた。
「いや待て、風月達は何してんだよ、てか縁学校に来い」
「そこの部分だけ聞くと、不登校生徒みたいだな」
「いや今はそれはいいか……ここに居る理由は?」
「いずみの能力が取られた、ま、大丈夫だろ」
「……あのいずみが何もしてない訳ねーもんな」
「あー待て待て、俺達の問題から解決しよう、こういう時はシンプルに、俺の依頼はこの研究所の機能停止、三代目は?」
「私は捕まっていた分家の解放、ついでに責任者を燃やそうかなと、ボーンさん?」
「殺さずに連れて来いとの命です、シーナ様はどの様なご用件で?」
「あたしは生徒達の憂さ晴らし」
今まで腰を抜かしていた科学者が、唐突に立ち上がった!
盲信している目をしながら、高らかに宣言をする!
「クックック! 縁! 貴様は近日中に七星了司様の贄となる! その日を楽しみにしてるがいい!」
「なるほどなるほど、縁の未来でも見たのかね?」
風月はニコニコしながら音の目の前に立った。
まるで子供に問い掛けるかの様に。
「最後に教えてあげよう、私が何故七星了司を殺さないか? 直接的に何かされてないから」
「確かに、今までお兄様やお姉様の周りに、ちょっかいかけてましたわね」
「言い換えればさ、罵詈雑言言われてるだけ、無視すりゃいいのよ」
「嫌な気分になりますが、相手にしている時間が勿体無いですしね」
「直接来るならお話は別だよ」
にらみつけるではなく、あくまでも笑って言い放った。
「世界の全てが敵になっても縁を助けに行くからさ、本気で相手してあげるよ」
「ぐっ! がっ!」
「ありゃ、気絶しちゃった」
「最後に、七星了司の未来を見たのかもしれませんね」
「まあとりあえず……すまんが、施設の停止を手伝ってくれないか?」
「斬銀君、仕事熱心だね~」
「考えてみてくれ風月、俺一人で研究所止めろなんて無理だろ、捕らえられた人達も居るのに、更にこの研究所は、街とほぼ一体になっているんだぜ?」
「すみませんが私は失礼させていただきます、この者を奥様に連れて行かなければ」
ボーンは科学者の男を米俵を担ぐように持って、直ぐに消えた。
「ありゃ、慌ただしい骨執事さんだね~」
「一発ぶん殴りたかったが……仕方ない、結び」
「ほいよ父さんどうした」
「施設にはまだ捕らえられている者がいる、助けるぞ」
「慈善活動だね~」
「はっはっは! 将来の息子に愛想はつかれたくないからな!」
「はいはい」
「俺もそっちに回るか、縁、工場の機能を止めてくれ」
斬銀達は縁達を残して出ていった。
「有無を言わさず行ってしまった」
「後で何か請求いたしましょう、お兄様」
「丁度いい、機械止めながらお話しようぜ、久しぶりにな」
縁達はとりあえず機械の停止を試みるのだった。