これは斜陽街から扉一つ分向こうの世界の物語。
どこかの扉の向こうの世界の物語。
アイスクリーム販売の車は、大通りを爆走する。
荷台に乗っていたアイ・スクリームのメンバーは、
追っ手に向けて発砲する。狙いから見て、牽制かもしれない。
追っ手の車のバランスが崩れたところを、
アイ・スクリームたちを乗せた車は、アクセルを踏みっぱなしのまま走る。
「見えてきた!」
「他の連中は!?」
「モカの車も、マッチャの車もある。みんな成功したみたい」
「よし、俺達が仕掛けの最後か」
アイ・スクリームたちが口々に言い合っているのを、
ヤジマは聞くともなしに聞いていた。
キタザワはおろおろしていてもしょうがないと思ったのか、
とりあえず荷台でおとなしくしている。
「どうなっちゃうんでしょう?」
キタザワはヤジマに問う。
「さぁな、革命の現場になんか居合わせたことないからな」
車はどこかでようやく止まる。
アイ・スクリームのメンバーは、
事前に決まっていたように、荷台から降りると、何かの機械を持って、
急ピッチで作業を始めた。
ヤジマも荷台から降りる。
そこは、大きな白いドームのような建物の外側。
建設中だということまではわかる。
警察か何かが、拡声器で騒いでいる。
見れば、捕まっている者がいる。
おとなしくなんとかかんとかしなさいとか。
アイ・スクリームのメンバーに、不安と動揺が広がったのを、
それをヤジマは見逃さない。
軽く舌打ちをする。
「聞くが」
ヤジマは手近なメンバーに尋ねる。
「あとは、何をすれば計画は成功する?」
メンバーは答える。
今、警察が集中している先の、制御盤を壊せば、
あとはアイ・スクリームの制御が上書きされて、計画が成功する、と。
「単純でいいね」
ヤジマは銃を持つ。
「行くぞキタザワ!突破してぶっ壊す!」
ヤジマとキタザワが中央突破をして、
ヤジマの銃弾が制御盤を破壊する。
大きく、爆発。
アイ・スクリームの革命ののろし、
白いドームを爆発させるほどの、
大量のポップコーンが、都市中にばら撒かれる。