「おお! やったなあ、すのこ!」
「やるじゃねえか、極振り巫女!」
マイやラトを始めに歓声が私を包む。ルトちゃんは拍手をしてくれているし、ロンちゃんはうんうんと頷いていた。
心地良い。これが勝利の味か。
仰向けになっていたゾヘドさんに天から光が降り注ぐ。これは【
HPを満タンに回復したゾヘドさんが上半身を起こす。見事な仏頂面だった。顔を伏せ、ややあって顔を上げると駄々っ子のように叫んだ。
「っっっ、あ――――っ! 負けた! 悔しい! 悔しい悔しい悔しい!」
手足をばたつかせて全身で悔しさを表現するゾヘドさん。じたばたとする様はまさに子供だった。この人、一応設定年齢は十七歳+αなのに。可愛い人だなあ。
「――負けちゃったねえ、ゾヘド」
「はっ! マナ様!?」
なんて和んでいたらマナちゃんの声が土俵に届いた。振り向けば観客の向こうから、ラペさんがその長身を使って人垣を掻き分けていた。彼が作った道を辿ってマナちゃんが姿を現す。
「えっ、マナちゃん!? どうしてここに!?」
「そりゃあ三本勝負を認めたのは私だもん。勝敗が決したのなら沙汰を言い渡さなくちゃ」
沙汰を言い渡す。その言葉に思わず姿勢がピンとなる。
そう、三本勝負。私とゾヘドさんは三つのミニゲームの勝敗で決める事になっていたのだ。マナちゃんの計画に私を協力させるか否かを。協力に足る実力がないと見なされたなら、守秘として私の記憶を消す処断が下される事になっていた。
一本目のアイテム比べではゾヘドさんが勝った。
二本目のシューティングゲームでは私が勝った。
そして三本目の相撲では私が勝った。つまり、
「二本取ったのは二倉すのこ、貴女だよ。見事な戦いぶりだった。マナの権限において約束通り、貴女の記憶に手出ししない事と協力の許可を保障しよう」