土俵の上に巨大な巻物が掲示される。広げられた巻物は巨大スクリーンであり、遠くの景色を映し出す機能だ。
運営は魔城兵の襲来をイベントの一つとして誤魔化すつもりらしい。設定上の存在である邪教徒が太古の兵器である魔城兵を駆って街を襲ってきた。それを女王の親衛隊である『
元々魔城兵にそういう設定があったのか、それとも急遽ストーリーを作り上げたのか、いずれにしても大した手際の良さだ。
スクリーンの中ではゾヘドさんたちが魔城兵の一体と対峙していた。まずは真西より迫る魔城兵からだ。街に最も近付いていた個体だ。
『――さて、こいつ以外にも七体いる訳だし、サクッと倒して次に行くとしますか』
一番槍ならぬ一番矢はラペさんだ。蒼海色の弓を構えて矢を番える。いつものヘラヘラした顔が引き締まり、張り詰めた空気が画面越しに伝わってきた。
『【
射られた矢は魔城兵にではなく、その頭上へと飛んでいった。矢に込められた魔力が爆ぜて数多の魔力の矢となり、雨霰と降り注ぐ。
その数、実に一〇〇〇本以上。名称からして恐らく【
『一〇八〇本の矢だ。ちっとは堪えたかい?』
矢の雨に晒された魔城兵の歩みが止まる。その合間にロンちゃんが魔城兵の足の間に入り込んだ。
『【
ロンちゃんの槍から風刃が迸る。風刃は暴風となり、暴風は螺旋となって魔城兵を真下から貫く。脳天――と城に言って良いものか――まで抉り抜かれた魔城兵があまりのダメージの大きさに膝を突く。
ゾヘドさんが魔城兵の真正面に跳んだのはその時だ。
『【
ゾヘドさんの剣から稲妻が奔る。雷刃は魔城兵を上から下まで叩き斬り、斬った道筋から劫火が噴出した。矢の雨、暴風の槍、雷に炎と連続攻撃を受けて、魔城兵は何の反撃も出来ないままに倒れた。
「……強え……!」
私の隣で見ていたマイが慄きながらもそう零す。私も同じ感想だった。50レベルでないと対処出来ないとされている敵を三つの技で仕留めた。目を見張る程の強さだ。
これなら残り七体も難なく倒せる。そう確信した時だった。
『あ? 何だって?』
ラペさんの『